動物駅長

動物駅長の魅力

動物駅長（どうぶつえきちょう）は、公共交通機関の駅で活躍する動物たちのことを指します。これらの動物たちは、駅舎に住み着いたり、駅員や近隣住民のペットとして親しまれ、観光客の見送りや出迎え、イベント参加などを通じて駅の顔として役割を果たしています。特に観光促進のために任命される名誉職であり、その存在は地域の魅力を高め、多くの訪問者を呼び寄せています。

代表的な動物駅長

動物駅長の中でも特に知られているのが、和歌山電鐵貴志川線の猫駅長「たま」です。たまは、2007年に駅長に任命され、観光客が彼に会うために貴志川線を利用するケースが増加しました。その結果、駅の経済効果は約11億円に達したと試算されています。さらに、たま駅長の存在は、関連商品が人気を集め、地域振興に寄与しました。たま駅長はその後、名誉永久駅長に任命され、猫の象徴として愛され続けています。

さらに、動物駅長の歴史を遡ると、2002年から旧同和鉱業片上鉄道線吉ヶ原駅で務めた猫「コトラ」が元祖として知られています。コトラは、名誉職を通じて地域の人々に親しまれ、その後の動物駅長ブームの先駆けとなりました。

地域の観光振興に寄与

動物駅長の任命は、観光資源が乏しく利用者数の少ないローカル線において、訪問者を呼び寄せる一手となっています。一時的な「一日駅長」ではなく、長期間にわたって駅長として活動する動物も多く、その魅力は高まっています。しかし、動物の寿命や健康状態、事故などのリスクも懸念されているため、後継の「2代目」を育成するケースも増えています。

早稲田大学の野口智雄教授は、その人気の理由について、「駅長は人間が就く高い位のポストであり、動物がその役割を担うことで意外性が生まれ、関心を引きつけている」と指摘しています。また、北海道鉄道資源研究会の永山茂は、「昔、駅舎に住み着いた野良猫を地域の人が愛でていたそのノスタルジーが、動物駅長ブームを後押ししている」と語っています。

各地の動物駅長の事例

動物駅長は全国各地で見られ、北海道の新十津川駅では犬のララが、東北地方の鰺ケ沢駅では犬のわさおが「観光駅長」として任命されています。関東地方の那珂湊駅では猫のおさむが住み着き、人気を博しました。また、愛知県の近鉄志摩線の賢島駅では、ペンギンの志摩ちゃんが駅長を務め、地域の観光客を惹きつけました。

海外の動物駅長

海外でも動物駅長の存在は広がりを見せ、台湾の猫空ロープウェイにて「ミーミー」という名の猫が駅長を務めたり、英国のリバプールサウスパークウェイ駅では猫のパウルが顧客対応係として働いています。

まとめ

動物駅長は地域の観光資源としての側面を持ちつつ、その愛くるしい姿や行動で多くの人々に癒しや楽しさをもたらしています。今後も、動物駅長たちがどのように地域振興に寄与し続けるのか、注目されることでしょう。

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