同和鉱業片上鉄道線

片上鉄道線の歴史と影響

片上鉄道線（かたかみてつどうせん）は、岡山県の備前市片上駅から美咲町の柵原駅までかつて存在した鉄道路線です。全線が1991年6月30日をもって廃止されましたが、当地域の交通の要として長い間利用されていました。

鉄道の設立背景

1901年頃、西大寺と瀬戸間に鉄道が敷設され、町苅田や佐伯を経由して柵原鉱山で採掘される硫化鉄鉱を吉井川の川舟で輸送するために瀬戸軽便鉄道株式会社が設立されました。しかし、第一次世界大戦の影響を受けてこの計画は実現せず、1919年には会社が解散しました。その後、片上軽便鉄道が設立され、鉄道が建設されていく過程でルートも変更されました。1923年には片上から和気間が開業し、同年8月には和気から備前矢田、井ノ口貨物間が開通するなど、徐々に全線の開通が進展しました。最終的に1931年には井ノ口から柵原間が開業し、全線が利用可能となったのです。

鉱石輸送と旅客営業

片上鉄道は鉱石輸送が主たる目的であったため、沿線住民の生活の足としても利用されました。鉄道の路線は高規格で、PC枕木が使われていたほか、各駅の有効長も長く設計されていました。営業末期には、運行していた車両のメンテナンスや施設の保守も行き届いており、特にキハ303という気動車は現在も動態保存されています。キハ702も流線形のデザインが魅力的な車両として生存していました。特異な形式であるワフ100形の車両も存在し、そのデザインの背景には国鉄の貨車形式が影響を及ぼしていました。

沿線の特異性

和気駅以北では吉井川沿いに客車列車も運行され、地元ではその客車の色から「ブルートレイン」と呼ばれることもありました。特に和気駅や周匝駅では多くの顧客が利用しており、地元の重要な交通手段でした。また、杖谷駅という無人駅が開業し、その特異な立地は話題を呼びました。

廃線の背景

しかし、柵原鉱山からの鉱石輸送は国内の硫化鉄鉱の需要減少によって減少し、その結果トラック輸送に移行されていきました。片上鉄道は生き残りを図るために肥料輸送や旅客列車の減便を行いましたが、人口減少が進行し続けたため、乗客数は減少の一途を辿ります。1991年にはレジャー事業を行っていた企業が経営を引き継ぎましたが、景気の悪化に伴い様々な計画は実現には至りませんでした。

廃線後の状況

片上鉄道の廃止後、代替交通として日生運輸によるバス路線が設定されましたが、路線は徐々に廃止され、現在では部分的に運行が行われている状況です。また、廃線跡はサイクリングロードとして再利用され、地域の文化的な遺産としても根付いています。いくつかの駅舎が改修されて観光名所となり、かつての片上鉄道の面影を残しています。特に吉ヶ原駅の舎は、ほぼオリジナルの状態で保存されています。

今後の展望

さらに、いくつかの車両が保存されている点も注目され、動態保存されている車両は文化的なイベントや特別運転に利用されています。また、これらの活動は地域の人々にとっても重要な意義を持つものとされています。片上鉄道の歴史とその影響は、地域社会の一部として今も息づいています。

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