勘料

勘料（かんりょう）について

勘料は中世日本において、国衙領や荘園を対象に年貢を免除するために、国司や荘園の領主に支払われた費用です。最初は、検注という作業の一環として、書類や台帳を確認し、作成するための事務手数料として利用されていました。検注は、農地や田畑の状態を評価し、一部の田畑について年貢の賦課を免除する「除田」の作業も含まれていました。

当時、在地の名主や農民たちは、自分たちの田畑を除田として認めてもらうために、勘料名義で少額の銭や米を納めることが一般的でした。しかし、勘料の支払いが常例化するにつれて、国司や荘園の領主側は支払いの金額を段別に設定したり、特定の田畑を「勘料田」として指定し、事実上一種の租税へと変質することになりました。

時代が進むにつれ、この勘料制度は各地で異なる徴収方法が導入されました。例えば、鎌倉時代後期には、若狭国の太良荘では段別に米3合が、遠江国の原田荘では米1升が、また、室町院領であった和泉国の大鳥荘では段別に銭2貫200文が徴収されることが記録されています。

このように、勘料は当初は年貢免除のための手数料として位置づけられていましたが、次第に制度化され、地域ごとに税制の一部として根付くことになりました。また、徴収された勘料の余剰分は、国司や荘園領主にそのまま納められたり、検注を行った検注使に直接得分として認められることもありました。

勘料の変遷

勘料の制度の発展は、いくつかの要因によって影響されました。それは、農業生産状況の変化、領主の財政的利益、また、地方の名主らの交渉力の差などです。特に、時代が経つにつれて、農村の経済的基盤が徐々に変化し、勘料もその一環として地域経済に深く根付いていきました。これによって、勘料は単なる免除手数料から、重要な税収の一部へと変化したのです。

勘料という制度は、中世の日本の農業や経済の動向、また支配層と農民の関係性を理解する上で、重要な資料となっています。その形成過程や変化の様子は、経済史や社会史の研究において特に注目されています。これらの歴史を紐解くことで、中世日本における農民の生活や地域社会の実態、さらにはその後の時代における税制の基盤を知る手掛かりが得られるでしょう。

勘料についての情報は、歴史書や研究の中で詳細に述べられており、特に富澤清人の『勘料について - 中世検注の一側面』や宮川満、永松圭子の解説が参考になります。これらの文献からは、勘料の制度的背景やその影響を深く理解することが可能です。

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