勝利の叫び

勝利の叫び（しょうりのさけび）

「勝利の叫び」は、日本プロ野球のセントラル・リーグに所属する中日ドラゴンズが、かつて公式球団歌として使用していた楽曲です。1978年（昭和53年）に正式に制定されて以来、2014年（平成26年）まで、およそ36年間にわたりドラゴンズとともにありました。

誕生の経緯

この楽曲は、1950年から使用されていた前球団歌「ドラゴンズの歌（青雲たかく）」の後継として、1978年に新たな球団の象徴として生まれました。歌唱は朝倉隆氏が担当しました。特に注目されるのは、当時のドラゴンズを牽引した主力選手たちがバックコーラスに参加している点です。星野仙一氏、鈴木孝政氏、大島康徳氏、藤波行雄氏、田尾安志氏といった、当時のチームを象徴する選手たちの声が、楽曲に力強さを加えています。この歌は日本コロムビアからシングル盤として発売され、そのB面には「燃えろ若竜」が収録されていました。

公式歌としての位置づけと現実のギャップ

「勝利の叫び」は、球団が定めた正式な球団歌として、セントラル・リーグの開幕戦など、公式行事の際には演奏されていました。しかし、実際の野球の応援の場では、ドラゴンズファンにとって絶大な人気を誇る応援歌「燃えよドラゴンズ！」が中心でした。そのため、「勝利の叫び」は応援歌として広く歌われることはほとんどなく、ファンの間での認知度は限定的でした。野球専門誌や名鑑においても、この楽曲よりも1997年にナゴヤドームの完成に合わせて発表された公式応援歌「嵐の英雄」が掲載されるケースが見られるなど、その扱いは必ずしも中心的ではありませんでした。

音源について

「勝利の叫び」のオリジナル音源は、球団創立70周年を記念して2006年（平成18年）にキングレコードから発売されたコンピレーション・アルバム『昇竜魂 〜ドラゴンズ70thメモリアルソングス〜』に収録されています。このアルバムはドラゴンズの歴史を彩る様々な楽曲を集めたものですが、シングル盤のB面に収められていた「燃えろ若竜」は、残念ながらこのアルバムには含まれていません。

役割の終焉

長らくドラゴンズの公式球団歌を務めた「勝利の叫び」は、2015年（平成27年）にその役目を終えました。同年2月28日、シーズン開幕に先立って、新たな球団歌「昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ-」が発表されたためです。これにより、「勝利の叫び」は公式球団歌としての座を後継曲に譲り、事実上の廃止となりました。およそ36年の歴史に幕を閉じた形です。

カバーバージョン

「勝利の叫び」には、いくつかカバーバージョンが存在します。特に有名なのは、1985年（昭和60年）に日本コロムビアから発売されたスプリット・シングル「ドラゴンズ賛歌 Bang Bang! ドラゴンズ」のB面に収録されたバージョンです。このカバーは、アニメソング界のレジェンドとして知られる水木一郎氏と、コーラスグループのこおろぎ'73が歌唱しています。このカバー音源は、1999年（平成11年）に発売された水木一郎氏のアルバム『熱風外伝 〜 水木一郎 ROMANTIC MASTER PIECES』にも再収録されています。

関連項目：

• - 燃えよドラゴンズ！

もう一度検索