勝利はいただき

三匹の子犬とオオカミのドタバタ劇『勝利はいただき』：テックス・アヴェリー作品の魅力

[1953年]]、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]で活躍したアニメーター、[[テックス・アヴェリー監督による短編アニメーション『勝利はいただき』(原題:Three Little Pups)は、童話『三匹の子豚』を大胆にアレンジした、ユーモラスで魅力的な作品です。

ストーリー：レンガの家は最強？

物語の中心となるのは、スヌーピー、ルーピー、そしてドルーピーという三匹の子犬の兄弟。それぞれ藁、木、レンガで家を建てますが、ドルーピーの忠告にも関わらず、ルーピーとスヌーピーは簡単にオオカミに家を吹き飛ばされてしまいます。

しかし、レンガで建てられたドルーピーの家は、オオカミの猛攻にも耐え抜きます。オオカミは丸太、手榴弾、さらには大砲まで持ち出してレンガ家を破壊しようとしますが、全く歯が立ちません。

最終手段として、大量の爆薬でレンガ家を吹き飛ばそうとしますが、結果は…。爆発の後、周囲にはクレーターができるも、レンガの家は奇跡的に無傷で残ります。

一方、オオカミは「テレビスターになって稼ぐさ」という言葉を信条に、西部劇のガンマン役としてテレビに出演し、ドルーピー兄弟に「また会おうぜ」と挨拶するのです。

登場キャラクター：個性豊かな面々

本作には個性豊かなキャラクターが登場します。ドルーピーは童話風、スヌーピーとルーピーは間抜けで落ち着きのない性格です。彼らは、マイケル・ラー監督作品『いたずら教室』にも登場しています。

今回のオオカミは、これまでの作品とは異なり、南部訛りの口調で、お人好しといった印象です。彼が得意とする「Kingdom Coming」の口笛は、本作でも重要な役割を果たしています。

また、猫の人形や機械ネズミといった、トムとジェリーを彷彿とさせるキャラクターも登場し、作品にスパイスを加えています。特に、スパイクに似たブルドッグは、オオカミを噛むというコミカルなシーンで活躍します。

時代の反映とアニメーション技術

本作では、中盤からテレビが登場します。1953年当時、アメリカではテレビが一般家庭に普及し始めており、その時代背景が作品に反映されていることが分かります。日本での放送は、TBS版『トムとジェリー』の中で行われました。

さらに、本作はオープニングクレジットに「Droopy」の表示がないという珍しい特徴があります。また、オオカミが吹く「Kingdom Coming」は南北戦争時代の軍歌で、ヘンリー・クレイ・ワークの作詞作曲によるものです。

関連作品と影響

『勝利はいただき』は、『三匹の子豚』を原作とする『うそつき狼』や、マイケル・ラー監督作品『いたずら教室』と共通点が見られます。特に『いたずら教室』には、酷似したシーンが多く含まれています。

また、『トムとジェリー』シリーズとの関連性も指摘されており、猫の人形やブルドッグのデザインは、トムとスパイクを彷彿とさせます。これらの作品群を比較検討することで、『勝利はいただき』の魅力をより深く理解することができます。

まとめ：アニメーション史に残る傑作

『勝利はいただき』は、テックス・アヴェリー監督の卓越した演出と、個性豊かなキャラクター、そして時代を反映した描写が絶妙に融合した、アニメーション史に残る傑作です。童話『三匹の子豚』を基にしながらも、独自の解釈とユーモラスな展開で、老若男女問わず楽しめる作品となっています。DVDなどで視聴可能なので、ぜひ一度鑑賞してみてください。

もう一度検索