勝手連

勝手連（かってれん）とは

勝手連とは、特定のテーマや候補者を支持する人々が、自発的に集まって支援活動を行う市民運動の形態です。組織的な選挙運動とは異なり、より緩やかな繋がりで、自由な発想に基づいた活動を行うのが特徴です。

発祥

勝手連のルーツは、1983年の北海道知事選挙に遡ります。当時、日本社会党の衆議院議員であった横路孝弘氏を知事候補として擁立しようとする若い有権者たちが、「横路孝弘と勝手に連帯する若者連合」を名乗り、活動を開始しました。

横路氏自身は当初、出馬に難色を示していましたが、彼らの熱意に打たれ最終的に出馬を決意。保守系の組織選挙を打ち破り、見事当選を果たしました。この成功が、勝手連という運動形態が広く知られるきっかけとなりました。

この運動の特徴は、

特定の候補者への支持を一点に絞る
参加・脱退が自由
* 従来の選挙運動組織に比べて緩やかな体制

などが挙げられます。これらの特徴が、多くの人々の共感を呼び、道内各地に勝手連が誕生する原動力となりました。

その後

北海道知事選挙での成功後、勝手連運動は様々な選挙に波及しました。しかし、ブームに乗っただけの団体も多く、必ずしも成果を上げているとは言えません。

今日では、「勝手連」という名称を明確に使う市民運動は多くありませんが、そのスタイルは多くの市民活動やNPOに影響を与えています。より緩やかな繋がりで、自由な発想に基づいた活動を行うという勝手連の精神は、現代の市民社会にも息づいていると言えるでしょう。

公職選挙法上の扱い

公職選挙法においては、組織的かつ継続的な団体が勝手連を名乗る場合は、選挙運動への規制が適用されます。しかし、非組織的又は一時的な集まりは「政党その他政治活動を行う団体」にはあたらないとされるため、通常の勝手連は選挙運動への規制が適用となるのみであり、政治活動は選挙期間においても自由です。

アメリカのスーパーPACとの比較

アメリカには、候補者への直接指示を受けず独立して支援運動を行う政治行動委員会（PAC）があり、スーパーPACと呼ばれています。スーパーPACは、支持候補への対立候補に対するネガティブキャンペーン広告などを、支持候補とは無関係な立場で行うことが多く、日本における勝手連の性格に近いと言えます。

スーパーPACは候補者に対する政治資金規制の枠外とされることから、選挙関連支出増加の原因とされています。

まとめ

勝手連は、特定のテーマに賛同する人々が自発的に集まり支援する市民活動です。北海道知事選での成功を機に広まりましたが、その形態は今日の市民活動にも影響を与えています。組織に頼らず、市民一人ひとりの自由な意思で政治に参加する。勝手連は、そんな新しい政治参加の形を提示したと言えるでしょう。

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