政治行動委員会

政治行動委員会（PAC）とは

政治行動委員会（PAC: Political Action Committee）とは、アメリカ合衆国の選挙における政治資金団体を指します。

概要

アメリカでは、企業や団体が政党や政治家へ直接献金することが原則禁止されています。そのため、通常はPACを設立し、企業の役員や大口株主といった個人から資金を集め、献金するという方法がとられてきました。全国規模の政治団体への個人献金は年間1人5000ドルに制限されており、献金額の合計も抑制されています。

しかし、2010年の「市民連合対連邦選挙委員会裁判」における最高裁判決や、「Speechnow.org対連邦選挙委員会裁判」の連邦巡回区控訴裁判所判決において、言論の自由を保障する権利章典第一条の観点から、支持する候補者や政党と直接協力関係にない政治活動であれば、献金額に制限を設けることはできないとの判断が下されました。

このような候補者から独立した政治団体は、企業献金や個人献金を大量に集めることで影響力を増大させ、特別政治活動委員会、通称「スーパーPAC」と呼ばれるようになりました。スーパーPACは、無制限に資金を集めることが認められており、テレビCMなどを利用した大規模なキャンペーンを展開しています。

スーパーPACの特徴として、支持候補への支援よりも、対立候補へのネガティブキャンペーンが多いことが挙げられます。スーパーPACへの献金者は原則として公表義務がありますが、多くの団体が法的な抜け穴を利用し、選挙後まで公表を遅らせる傾向があります。

事例

スーパーPAC制度が初めて本格的に用いられたのは、2012年アメリカ合衆国大統領選挙に向けた2012年アメリカ合衆国大統領共和党予備選挙でした。この選挙では、ミット・ロムニーを支持する「Restore Our Future」と、ニュート・ギングリッチを支持する「Winning Our Future」が激しい批判合戦を繰り広げました。

バラク・オバマ大統領（当時）は当初スーパーPACを批判していましたが、元部下2人が代表を務める「プライオリティーズUSAアクション」が設立されました。

また、ガブリエル・ギフォーズ元下院議員は、自身が銃撃事件の被害者となった経験から、無差別乱射事件の根絶を目指し、全米ライフル協会（NRA）に対抗し得る銃規制のための団体を2013年に設立しました。

関連項目

金権政治
ネガティブ・キャンペーン

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