勝浦鞆雄

勝浦 鞆雄 (かつうら ともお) の生涯と業績

勝浦鞆雄は1850年3月11日に大阪で生まれ、1926年12月7日に亡くなった日本の教育者です。彼は日向国高鍋藩士族の出身であり、明治維新後は新政府に仕官しました。彼の教育者としてのキャリアは、和歌山県師範学校の校長職を経て、東京府の職員へと進んでいきます。特に1890年から1909年にかけて東京府尋常中学校（現在の都立日比谷高校）の校長を務めたことで知られています。

教育改革への貢献

勝浦鞆雄が校長に就任した当時、日本の中学校制度は整備段階にあり、彼はその改革に深く関与しました。1894年の中学校令制度の改定では、勝浦が中心的な役割を果たし、多くの提言を行いました。また、彼は森有礼と近しい関係にあり、当時の東京府知事によって尋常中学校の校長に選ばれたことも、彼の教育理念の影響力を示すものです。

彼は和歌山県の師範学校での経験を基に、国学を重視し、教育勅語の制定に影響を受けるなど、時代の思潮に呼応した校訓を設けました。具体的には、彼は「教範三綱領」を提唱し、これは後に五綱領に改定されました。その中には、学生たちが暗誦することを求める規定も含まれていました。

さらに、勝浦は身体検査や修学旅行、学友会や保護者会の導入といった新しい取り組みを進めました。当時は卒業時期が年に二回ありましたが、勝浦はこれを見直し、卒業を3月とし新学期を4月に設定するなどして、全国の模範となるような体制を整えました。進学指導にも力を入れ、第一高等中学校（後の一高）への推薦入学枠を初めて獲得することによって、多くの学生が大学進学を果たせるように尽力しました。

朝鮮特派留学生との交流

1904年、勝浦は韓国からの皇室特派留学生の受け入れを進めました。これは高宗皇帝が近代化を推進するための措置として、44名が東京府尋常中学校に入学しました。授業は日本人学生と別々に行われましたが、学生間での交流もありました。しかし、翌年には勝浦が報知新聞に「朝鮮人に教育は不必要だ」との発言をし、特派留学生たちが休校に入る事態を引き起こしました。これにより、彼は教育における重要な問題に直面しましたが、その後、朝鮮の教育を視察する役割も担い、純宗皇帝に謁見する機会を得ました。

晩年と著作

1909年に勝浦は関東都督府の旅順中学校長に就任し、その後1920年に東京に戻りました。彼の業績は教育界に多大な影響を与え、彼の著作も残されております。『中等教育私議』や『皇国史要』（上下巻）などが彼の主な著作です。

勝浦鞆雄は日本の教育制度の形成において重要な役割を果たした人物であり、その功績は今なお多くの人々に評価されています。彼の教育に対する情熱と先見の明は、後の世代に受け継がれています。

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