勝目梓

勝目 梓(かつめ あずさ)



勝目梓は日本の小説家、エッセイスト、そして俳人として知られる作家です。1932年6月20日、東京に生まれ、2020年3月3日心筋梗塞で87歳で亡くなりました。彼の作品は官能小説だけでなく、ミステリーやエッセイなど多岐にわたります。

幼少期と若年期


勝目は幼少期に両親の離婚を経験し、母親と共に九州へ移ります。伊集院高等学校は中退し、その後は長崎で炭鉱に従事し、労働組合のリーダーとして活動しましたが、闘争に敗れ退職しました。その後、養鶏業や自動車教習の教員など、さまざまな職を遍歴し、結核療養中に作家を志すことを決意します。

文学の道のり


1962年、彼は初めて書いた小説を文學界新人賞に応募し、一次予選を通過。しかし、成果があまり出ない時期が続きました。1964年には愛人と共に上京し、運送会社で働きながら同人誌『文藝首都』に関わり始め、そこで中上健次と出会い、深く影響を受けました。

1966年には『文藝首都』の推薦作「玩具の花」を発表し、1967年には「マイ・カアニヴァル」で上半期の芥川賞候補になります。続いて「遠景」と「花を掲げて」を発表し、直木賞候補にも名を連ねましたが、当時はなかなか受賞には至りませんでした。

作風の変化と受賞歴


1970年森敦との出会いが彼の作家人生に影響を及ぼし、娯楽小説へとスタイルを変えることを決意します。そして1974年、42歳の時に「寝台の方舟」で小説現代新人賞を受賞しました。1977年には初の単行本『マン・フラワー号のハント旅行』を発表。1978年に出版した『獣たちの熱い眠り』が大ヒットし、その後彼はバイオレンス官能作家として支持を受けるようになりました。

1981年には日本文芸大賞を受賞し、1983年に初期の作品「玩具の花」と「寝台の方舟」が再出版され、広く知られることとなります。彼は俳句の道にも進み、「一煙」という俳号を持ち、20年以上にわたり句会を主宰しました。

後半生と文学への貢献


1997年から1998年には日本推理作家協会賞の選考委員としても活動し、2006年から2007年にかけて自伝的小説『小説家』と『老醜の記』を執筆しました。これらは彼の作家としての葛藤や創作の過程を明らかにする貴重な作品です。

彼は長い作家生活の中で300冊近い著書を世に送り出し、さまざまなジャンルに挑戦しました。少しずつ確立した彼の文学観は多くの読者に親しまれ、影響を与え続けています

最後には彼自身の創作活動が多くの人々に影響を与えたといえるでしょう。勝目梓の死後も、その作品は多くの読者に愛され続けています。

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