このエピソードは、
HBOのファンタジー・ドラマ・シリーズ『
ゲーム・オブ・スローンズ』の第2シーズン、『王国の激突』の最終話にあたり、重要な転換点となる出来事が多数描かれています。プロデューサーでもある
デイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスが脚本を手掛け、
アラン・テイラーが監督を務めました。原作の『
王狼たちの戦旗』を基にしつつ、独自の解釈や展開が加えられています。
各地の動向
キングズランディング
ブラックウォーターの戦いの勝利後、ジョフリー王は祖父タイウィン・ラニスターを「市の救い手」として称え、正式に〈王の手〉に任命します。タイレル家との同盟により、ピーター・ベイリッシュは〈ハレンの巨城〉を与えられます。ロラス・タイレルはジョフリーに妹マージェリーとの結婚を提案。ジョフリーはサンサとの婚約を解消し、マージェリーとの婚約を決定します。サンサは自由を得て喜びますが、ベイリッシュはサンサがキングズランディングにいる限り危険だと警告します。一方、ティリオンは戦いで負傷し、〈王の手〉の地位を奪われます。ヴァリスは、ティリオンが真の英雄だと認めつつも、サーセイがティリオンを狙っていると告げます。シェイはティリオンを慰め、共にペントスへ逃れることを提案しますが、ティリオンは拒否します。
ドラゴンストーン
ブラックウォーターの戦いでの敗北に激怒したスタニスは、メリサンドルを絞め殺そうとしますが、彼女がレンリーを殺したことを思い出して怒りを鎮めます。メリサンドルは、スタニスが王になるためには、あらゆる裏切りが必要だと語り、二人は炎を見つめ、スタニスはメリサンドルへの信頼を取り戻します。
西部
ブライエニーは、囚人のジェイミーをキングズランディングへ連れて行く旅を続けます。途中でスターク軍に殺された3人の女性の遺体を発見し、復讐を果たします。ジェイミーはブライエニーの行動に驚きを示しますが、彼女はキャトリン・スタークに仕えていることを告げます。ロブはタリサへの愛をキャトリンに告白し、フレイ家との婚約を破棄します。ロブはタリサと密かに結婚します。
ウィンターフェル
シオンはラムジー・スノウの軍に包囲され、敗北に直面します。メイスター・ルーウィンの忠告を拒否し、部下と共に戦うと決意しますが、部下に裏切られ、気絶させられてしまいます。ルーウィンはシオンを救おうとして、刺殺されます。ブラン一行は地下墓所から出てきますが、ウィンターフェルは破壊され、ルーウィンは死にかけています。ブランたちは〈壁〉を目指し、ウィンターフェルを離れます。
ハレンの巨城近郊
アリアは、ジェンドリー、ホットパイと共に〈ハレンの巨城〉を脱出します。ジャクェン・フ=ガーが現れ、アリアをブレーヴォスに連れて行こうとしますが、アリアは家族に会うため断ります。ジャクェンはアリアに特別なコインを与え、必要になったらブレーヴォスの人間に渡すよう告げます。
狭い海の向こう側
デナーリスはジョラーやドスラクの仲間と共に、ドラゴンを隠したパイアット・プリーがいる〈不死者の館〉へ向かいます。幻視の中で、デナーリスはキングズランディングや〈壁〉の光景を目にします。また、死んだはずのカール・ドロゴと息子のレイゴの姿も見て、幸せなひとときを過ごしますが、現実に戻り、ドラゴンが鎖に繋がれていることを知ります。パイアット・プリーに捕らえられそうになるも、ドラゴンに命じて炎を吐かせ、プリーを殺します。その後、ザロが侍女ドリアと不倫していることを知り、ザロの金庫を開けて空っぽだったことから、ザロを金庫に閉じ込め、仲間と共にザロの屋敷を略奪します。
〈壁〉の向こう側
ジョン・スノウは、〈野人〉に囚われたまま、クォリン・ハーフハンドを殺して〈野人〉への忠誠を示します。サムはホワイト・ウォーカーの大群を目撃し、恐怖に慄きます。
制作背景
このエピソードの脚本は、原作の第二部『
王狼たちの戦旗』のプロローグ、48、49、66-70章に基づいており、第三部『
剣嵐の大地』の2、15章からも一部内容が採用されています。
クァース、ウィンターフェル、ロブとタリサのロマンスは、原作から改変されています。また、原作にはない、スタニスがメリサンドルの助けを借りて〈光の王〉への信仰を新たにするシーンが追加されています。
反響
初回放送では420万人が視聴し、シリーズ最高の視聴者数を記録しました。
プライムタイム・エミー賞では、メイクアップ賞ミニシリーズ/テレビ映画/スペシャル番組部門にノミネート、視覚効果賞シリーズ部門を受賞しました。
まとめ
「勝者」は、各キャラクターの運命が大きく動き出す重要なエピソードです。キングズランディングでの権力闘争、ロブの愛の選択、シオンの裏切り、アリアの逃亡、デナーリスのドラゴンの奪還、ジョンの新たな旅立ちなど、次シーズンへの期待を高める内容となっています。