勢陽五鈴遺響

勢陽五鈴遺響（せいようごれいいきょう）について

勢陽五鈴遺響は、江戸時代末期の1833年に完成された地誌で、伊勢国（現在の三重県）に関する貴重な文献です。この作品は、主に伊勢国山田古市（現在の三重県伊勢市古市町）の郷土史家である安岡親毅（1758年 - 1828年）によって編纂されました。彼の死後、妻である安岡八千女がその作業を引き継ぎ、補修を行った後、門弟の増井惟休、中西正稲などの手を経て完成に至りました。完成までに約50年の歳月がかかったことからも、この地誌にかけられた努力と情熱が伺えます。

概要

この地誌は、江戸時代以前の伊勢国各地の歴史および地理に関する詳細情報が記されており、現在の三重県内の数多くの郷土資料に引用されていることでも知られています。明治時代以降、この地誌は活字化され、何度か再出版されていますが、その内容は常に研究や学問の上で重要な位置を占めています。

内容

『勢陽五鈴遺響』は、「首之巻」（総論）から始まり、それぞれの郡に関する詳細な説明が続きます。各巻の構成は以下のようになっています。

• - 首之巻（上・中・下）
• - 桑名郡 （巻之一から巻之五まで）
• - 員弁郡 （巻之一から巻之三まで）
• - 朝明郡 （巻之一から巻之三まで）
• - 三重郡 （巻之一から巻之四まで）
• - 鈴鹿郡 （巻之一から巻之八まで）
• - 河曲郡 （巻之一から巻之四まで）
• - 奄芸郡 （巻之一から巻之四まで）
• - 安濃郡 （巻之一から巻之六まで）
• - 一志郡 （巻之一から巻之六まで）
• - 飯野郡 （全）
• - 飯高郡 （巻之一から巻之七まで）
• - 多気郡 （巻之一から巻之五まで）
• - 度会郡 （巻之一から巻之十八まで）

このように、各郡ごとに分かれた形式で詳細な情報が提供されており、地域の特性や歴史を理解する上で欠かせない資料となっています。

参考文献

『勢陽五鈴遺響』は、全5巻として刊行されており、著者は安岡親毅、校訂は倉田正邦が行いました。発行は三重県郷土資料刊行会が1975年から1978年の間に行いました。また、他の参考文献としては、昭和6年に発行された『三重先賢傳』（復刻版は昭和56年）、および『伊勢度会人物誌』（昭和9年発行の校訂版）などが挙げられ、これらは地域の歴史を知るための重要な資料となっています。

このように、勢陽五鈴遺響は、その独自の観点から地域の歴史を詳細に記録し、後世に多くの知識を伝える役割を果たしています。

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