勧修

勧修（かんしゅう）は、平安時代中期に活躍した天台宗の僧侶です。天慶8年（945年）頃に生まれたとされ、寛弘5年7月8日（1008年8月11日）に亡くなりました。俗姓は志紀氏で、智静（ちせい）という諡号が贈られています。観修、長谷大僧正、解脱寺僧正とも呼ばれていました。

11歳の時に比叡山に上り稚児となり、その後出家しました。寛和元年（985年）には、余慶（よけい）から灌頂（かんじょう）を受け、天台教学を深く学びました。また、勢祐（せいゆう）からも教えを受けています。長徳3年（997年）には、中国の宋から日本に送られてきた天台宗に関する書物について、師である実因（じついん）とともに批判的な見解を示しました。これは、当時の仏教界における勧修の学識の深さと、独自の思想を確立していたことを示すエピソードと言えるでしょう。

同年には園城寺（おんじょうじ）の長吏（ちょうり）に任じられ、寺院運営にも携わりました。長保2年（1000年）8月には、僧侶として最高位である大僧正（だいそうじょう）に任じられています。このことからも、勧修が当時の仏教界において非常に重要な地位を占めていたことが分かります。

寛弘2年（1005年）には、藤原道長（ふじわらのみちなが）が宇治木幡（うじこはた）に浄妙寺（じょうみょうじ）を建立した際、その開山（かいさん）となりました。開山とは、寺院を創建した最初の僧侶のことであり、浄妙寺の創建において勧修が中心的な役割を果たしたことを示しています。没後の寛仁3年（1019年）12月には、その功績を称えられ、智静の諡号が贈られました。

勧修は、天台宗の学僧として、また寺院運営者として、平安時代中期の仏教界に大きな足跡を残しました。特に、藤原道長との関係は深く、道長が建立した寺院の開山を務めるなど、その影響力は政治的な側面にも及んでいたと考えられます。彼の学問に対する真摯な姿勢と、社会における貢献は、後世にも高く評価されています。

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