勾配

勾配とは

勾配（gradient, grade）とは、水平面に対する傾きの度合いを指す言葉です。地形、土構造物、人工的な構造物、建造物の傾き（傾斜）を表す際によく用いられます。

勾配の表し方

勾配の表し方には、主に以下の2つの方法があります。

1. 水平距離を基準とする方法：水平距離を1（または100%）とし、それに対する垂直距離の値で勾配を示します。例として、3.5/100、3.5%、-2.3%（下り勾配）などがあります。
2. 角度で表す方法：水平面に対する面の傾斜を角度（度）で表します。例として、3.0度などがあります。

ただし、土木工事などで用いられる「法勾配」は、これらの表し方とは異なる特殊な表現方法を用います。これについては後述します。

地理・土木・建築における勾配

地理学的な地形や建築物において、水平面に対する面の傾斜具合を縦断勾配（longitudinal slope）または単に勾配といいます。これは、解析学的な意味での勾配の、ゼロが重力レベルを指し示す特別の場合です。斜度、傾斜率（slope, grade, gradient, inclination, pitch, inclination pitch）もしくは上り（rise）とも呼ばれます。

[道路]]や鉄道の線形要素の一つである勾配については、[線形 (路線)#勾配#%E5%8B%BE%E9%85%8D)も参照してください。また、関連用語としてカントなどがあります。

河川の河床の勾配（河床勾配）は、i=1/50、i=1/100のように分数で表されます。例えば、1/100とは、水平距離100に対して高さが1の勾配（1%と同義）を意味します。

日本建築においては、通常、水平1尺に対して立ち上がりの（または立ち下がりの）長さで勾配を表します。例えば、「三寸勾配」とは、水平1尺に対して3寸の立ち上がりがある勾配のことです。これを角度で表すと、tanθ = 3/10、つまり約17度となります。水平1尺に対して立ち上がり1尺の勾配、つまり45度の勾配は「矩（かね）勾配」と呼ばれます。一般的に、勾配という言葉は、矩勾配よりも小さい勾配に対して用いられることが多いです。矩勾配以上の勾配は、特に返勾配と呼ばれることがあります。

斜率については、斜率の項目を参照してください。

法勾配

土木工事における盛土や切土の法面の勾配を表現する際には、通常の勾配の表し方とは異なる特殊な表現方法が用いられます。法勾配では、水平距離ではなく、鉛直高さを1として、それに対する水平距離がnの場合、1:nと表現します。これは、盛土や切土の計画高さが重要であるため、高さを基準としているためです。例えば、高さを1、水平距離を0.5とする場合、1:0.5のように表現し、「5分勾配」と呼びます。この表現は、「分」が1/10を表す単位であることから、理解しやすいと言えます。

また、水平距離が1以上の場合、「割」を通常の単位の使い方とは異なる特殊な使い方をします。例えば、1:1.5の勾配（5mの盛土高さを確保するために、7.5mの水平距離が必要な場合）は、「1割5分勾配」と表現します。これは、「割」の1/10を「分」と呼ぶことから、逆に分の10倍を「割」とすることで、「1割5分勾配」という表現になったと考えられます。ただし、この表現は、「割」が全体の1/10を意味するという通常の慣用とは異なるため、誤解を招く可能性があります。

脚注

勾配の表し方や法勾配の表現方法は、分野や地域によって異なる場合があります。
建築基準法などの法令では、勾配に関する規定がある場合があります。

関連項目

坂
斜面

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