勿部珣

勿部珣について

勿部 珣（ブツブ シュン、生没年不詳）は、百済出身で唐の将軍として活躍した人物です。彼の官位は「金吾衛大将軍」であり、軍事的な地位を持っていました。彼の生涯については、706年に建立された『勿部将軍功徳記』の記録に基づいています。

百済から唐への移住

勿部珣は百済の名家に生まれ、代々高官を務めてきたとされています。しかし、百済が滅亡する直前に彼は和国へと移住しました。移住後は、唐の地で家庭を築き、黒歯常之の娘である楽浪郡夫人黒歯氏と結婚し、4人の息子と1人の娘を持つようになります。これにより、彼は新たな家族の絆を築くことができ、唐での生活を支える基盤を固めました。

物部氏との関連

『勿部将軍功徳記』に記されているところによれば、勿部氏は「本枝東海」として記載されており、日本の物部氏との関連が指摘されています。物部氏は、百済滅亡以前から、倭系の百済官僚として百済において活動していたことが明らかです。具体的には、物部麻奇牟や物部用歌多、物部哥非、物部烏などがその例に挙げられます。

勿部珣が黒歯常之の義理の息子であることを考えると、彼が百済滅亡以前から百済で活躍していた可能性が高いと言えるでしょう。この点を踏まえると、彼は唐に移住する前から百済で重要な役割を果たしていた倭系の官僚であったと考えられます。

家族構成

勿部珣の家族構成は以下の通りです。

• - 義父: 黒歯常之
• - 義兄: 黒歯俊
• - 妻: 楽浪郡夫人黒歯氏

このように、勿部珣は黒歯氏の一族と深い結びつきを持ち、彼の家族は唐の地でもその影響力を発揮したと考えられます。

彼の活動時期や経歴は、古代の日本と百済、さらには唐の歴史を知る上での重要なピースとなります。勿部珣の存在は、当時の政情や文化、そして異国との交流の一端を知るうえで欠かせないものとなっています。彼の伝記や家族の物語は、歴史を学ぶ者に多くの示唆を与えてくれます。

関連する文献

勿部珣に関する情報源には、『勿部将軍功徳記』があり、彼の業績や生涯を詳細に知るための貴重な資料となっています。この記録を通じて、百済と唐の歴史が交錯する瞬間を垣間見ることができ、彼の人生を評価する上での一助となるでしょう。

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