包括利益計算書

包括利益計算書について

概要

包括利益計算書（ほうかつりえきけいさんしょ）または損益及び包括利益計算書（そんえきおよびほうかつりえきけいさんしょ）は、企業会計における財務諸表の一部であり、資本取引以外による純資産の変動を示します。この文書では、企業の経済活動から生じる包括利益について解説します。

包括利益とは、当期純利益と、その他の包括利益（例えば、有価証券の評価差額やヘッジの損益、外貨換算調整など）の合計を指し、事業の成果を多面的に理解するための指標です。日本においては、企業会計基準委員会が定める企業会計基準第25号によって、この計算書の作成が求められています。

意義

日本で包括利益計算書が導入されたのは2010年で、その目的は主に4つに分けられます。まず、国際会計基準（IFRS）との整合性を持たせることが挙げられます。次に、経営者の裁量的な会計処理を防ぎ、株主に対する経営者の責任を明確にすることが目的とされています。さらに、利益と純資産のクリーン・サープラス関係を維持することも重要です。

ただし、国際的な視点からは包括利益の導入に対する批判もあり、その理由としては、経営者の制御が効かない要因が業績に影響をもたらすことや、必要な新情報の開示によるコストが問題視されています。これに加え、包括利益が当期純利益よりも有用であるとの明確なデータが少ないことも指摘されています。

表示方式

包括利益の表示方式には2つの主なスタイルがあります。1つ目は「2計算書方式」で、これは当期純利益と包括利益を異なる計算書（損益計算書と包括利益計算書）で示します。2つ目は「1計算書方式」で、こちらは同じ計算書に両者を表示します。ただし、2011年の時点で日本企業の約90%が2計算書方式を採用しており、これは経営者が報告書の最後に当期純利益を配置することを重視している結果と考えられています。

結論

以上のように、包括利益計算書は企業の財務状況をより透明に示すための重要な道具となっています。包括利益という概念を理解することで、企業の真のパフォーマンスを把握し、適切な投資判断を行うための助けとなるでしょう。また、これにより企業は国際会計基準との整合性を持ちつつ、倫理的に健全な経営を実現することが期待されています。

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