財務諸表

財務諸表とは

財務諸表（financial statements）とは、企業が一定期間の経営成績や財政状態を、株主や債権者などの利害関係者に報告するために作成する書類の総称です。複式簿記に基づいて作成され、一般的には決算書とも呼ばれています。

財務諸表の構成要素

日本の会計基準では、以下の4つの書類が財務諸表の基本となります。

貸借対照表（B/S）: ある時点における企業の資産、負債、純資産の状態を示す書類です。企業の財政状態を把握する上で最も重要な書類の一つです。
損益計算書（P/L）: 一定期間における企業の収益と費用を示し、利益または損失を計算する書類です。企業の経営成績を評価するために用いられます。
キャッシュ・フロー計算書（C/F）: 一定期間における企業の現金の流れを示す書類です。企業の資金繰りの状況を把握するために用いられます。
株主資本等変動計算書（S/S）: 株主資本の変動状況を示す書類です。企業の純資産の増減を把握するために用いられます。

これらの基本財務諸表に加えて、注記などの副次的な情報も合わせて開示されるのが一般的です。また、単一企業について作成する財務諸表を個別財務諸表、子会社を含む企業グループ全体について作成する財務諸表を連結財務諸表といいます。四半期ごとに作成される財務諸表は、四半期財務諸表および四半期連結財務諸表と呼ばれます。

財務諸表の作成義務と監査

財務諸表は、会社法や金融商品取引法などの法令によって、取締役などの経営者に作成が義務付けられています。また、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成することが求められます。

会社法では、財務諸表は「計算書類」または「連結計算書類」と呼ばれます。財務諸表に付随する情報として、会社法上の附属明細書や金融商品取引法上の附属明細表がありますが、これらは狭義の財務諸表には含まれません。

上場企業などの金融商品取引法によって有価証券報告書の提出が義務付けられている企業は、財務諸表をEDINET（金融庁の電子開示システム）で閲覧することができます。また、上場企業以外の株式会社は、定時株主総会の終了後、貸借対照表（大会社の場合は貸借対照表および損益計算書）を、自社のウェブサイト、日刊新聞紙、または官報のいずれかに公告することが義務付けられています。

財務諸表は、不正や誤謬によって適正に作成されないリスクがあるため、一定規模以上の会社や上場企業は、公認会計士や監査法人による会計監査を受けることが法的に義務付けられています。

その他の関連書類

損益計算書の添付書類として、製造原価報告書（C/R）があります。これは、製品の製造にかかったコストを詳細に示した書類です。

財務諸表の活用

財務諸表は、企業の経営状況を把握し、将来の成長性を予測するために不可欠な情報です。投資家や債権者は、財務諸表を分析することで、企業の収益性、安全性、成長性を評価し、投資判断や融資判断を行います。また、企業自身も、財務諸表を分析することで、経営上の課題を発見し、改善策を講じることができます。

参考情報

財務諸表に関するさらに詳しい情報は、以下のウェブサイトや書籍で確認することができます。

EDINET - 金融庁
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 - e-Gov法令検索
神戸大学経済経営学会編著『ハンドブック経営学[改訂版]』、ミネルヴァ書房、2016/4/11。

関連項目

企業会計原則
企業会計
原価計算
決算
財務分析
収益認識
計算書類
会計帳簿
会計監査
* 日本経営学会

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