化膿性肺炎

化膿性肺炎（かのうせいはいえん）とは

化膿性肺炎は、肺組織に細菌感染が起こり、膿が形成される状態を指します。肺膿瘍や肺化膿症とほぼ同義で使われることもあります。この病気は、適切な治療を行わないと重篤な状態に陥る可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。

症状

化膿性肺炎の主な症状は以下の通りです。

持続する高熱: 38℃以上の発熱が数日間続くことがあります。
咳: 湿った咳が特徴で、痰を伴うことが多いです。
黄色痰: 膿を含んだ黄色や緑色の痰が出ます。
全身倦怠感: 体のだるさや疲労感が強く、日常生活に支障をきたすことがあります。
食欲低下: 食欲がなくなり、体重が減少することもあります。

肺膿瘍が破裂すると、膿が胸腔内に漏れ出し、膿胸や気胸を引き起こすことがあります。この状態を膿気胸といい、呼吸困難などの重篤な症状を引き起こすため、速やかな対応が必要です。

病因

化膿性肺炎の主な原因菌は、黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、皮膚や鼻腔などに常在している細菌ですが、免疫力が低下している場合や、他の感染症に続発して肺に感染することがあります。まれに他の細菌や真菌が原因となることもあります。

診断

化膿性肺炎の診断は、以下の検査を組み合わせて行います。

聴診: 聴診では、特有の肺雑音は聴取されないことが多いです。しかし、肺膿瘍が大きな場合は、呼吸音が減弱したり、異常な呼吸音が聴取されることがあります。
胸部レントゲン検査: レントゲン写真では、肺野に単発の球状の白色陰影が認められます。この陰影は膿が溜まっている部分を示しており、内部に液体と空気が混じり合って水平面を形成するニボーが認められることがあります。
CTスキャン検査: CT検査では、レントゲン写真よりも詳細な肺の状態を把握できます。膿瘍の大きさや位置、周囲組織との関係などが明確になり、確定診断に役立ちます。

治療

化膿性肺炎の治療は、主に以下の方法で行います。

抗菌薬の投与: 原因菌である黄色ブドウ球菌に対して有効な抗菌薬を静脈内投与します。初期治療には、セフェム系抗菌薬が用いられることが多いですが、耐性菌の可能性も考慮して、バンコマイシンやカルバペネム系抗菌薬が使用されることもあります。
胸腔ドレナージ: 膿気胸を発症している場合は、直ちに胸腔ドレナージを行い、胸腔内に溜まった膿を排出する必要があります。ドレナージチューブを挿入し、持続的に排膿することで、呼吸状態の改善を図ります。
膿瘍の穿刺ドレナージ: 抗菌薬の効果が見られない場合や、膿瘍が大きく自然排膿が難しい場合には、レントゲン透視下で経皮的に膿瘍を穿刺し、ドレナージチューブを挿入して持続的に排膿を行います。
外科的治療: 最終手段として、抗菌薬治療やドレナージが効果がない場合、外科手術で膿瘍のある肺葉を切除することがあります。これは、重症例や膿瘍が多発している場合に考慮されます。

予後

化膿性肺炎の予後は、早期に適切な治療を開始できれば比較的良好ですが、治療が遅れたり、合併症を発症したりすると重篤化する可能性があります。高齢者や基礎疾患のある患者は、特に重症化しやすい傾向があります。

まとめ

化膿性肺炎は、肺に膿が溜まる深刻な感染症であり、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。高熱や咳、黄色い痰などの症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。医師の指示に従い、適切な治療を受けることで、重症化を防ぎ、早期回復を目指しましょう。

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