北の誉酒造

北の誉酒造株式会社

北の誉酒造株式会社は、かつて北海道小樽市を拠点として活動していた著名な日本酒メーカーです。看板商品である清酒「北の誉」を中心に、多くの人々に親しまれてきました。その歴史は明治時代に遡り、複数の酒造会社が統合・再編される複雑な経緯をたどったことで知られています。

創業から合併までの歴史

北の誉酒造の起源は、1890年（明治23年）に小樽の地で創業した「丸ヨ野口商店」に遡ります。この商店が酒造業に進出したことが、後の会社の礎となりました。

戦時体制下の1944年（昭和19年）、企業整備令に基づき、北海道内の酒造会社が集約され、札幌酒造株式会社、小樽合同酒造株式会社、旭川酒類工業株式会社という三つの新しい会社が設立されました。これが、後に「北の誉」ブランドを冠することになる各社の始まりです。さらに、戦後の1951年（昭和26年）には、関連会社として越の華酒造株式会社（こちらは後に解散）も設立されています。

翌1952年（昭和27年）には、先に設立された三社がそれぞれ商号を変更し、札幌北の誉酒造株式会社、北の誉酒造株式会社、旭川北の誉酒造株式会社となります。それぞれの地域で「北の誉」の名を冠した事業を展開しました。

そして、昭和30年代から40年代にかけて、これらの会社は段階的に統合されていきます。まず、1962年（昭和37年）には、北の誉酒造株式会社と香蘭酒造株式会社が合併し、「北の誉香蘭株式会社」が誕生しました。さらに1968年（昭和43年）には、この北の誉香蘭株式会社を存続会社として、札幌北の誉酒造株式会社と旭川北の誉酒造株式会社を合併。ここに、名称を「北の誉酒造株式会社」と改め、一本化された体制が確立されました。

近年の動向と会社の終焉、ブランドの継承

長らく独立した酒造メーカーとして活動していましたが、2007年（平成19年）にはオエノンホールディングスの傘下に入りました。これにより、同社グループの一員として経営が行われることになります。

しかし、その後の再編の中で、北の誉酒造株式会社は法人としての歴史を閉じることになります。2016年（平成28年）1月1日をもって、同じくオエノングループである合同酒精株式会社に吸収合併されたのです。これに伴い、北の誉酒造という会社は法人として消滅し、主要な生産拠点であった小樽工場も閉鎖されました。

会社はなくなりましたが、「北の誉」ブランドの日本酒は、合同酒精株式会社によって製造・販売が引き継がれています。2024年現在も、「北の誉」の銘柄は北海道内外で親しまれ続けており、その伝統の味はしっかりと守られています。

かつての製品と広報活動

北の誉酒造は、多岐にわたる清酒製品を製造していました。「北の誉」の名を冠した定番商品に加え、「純米大吟醸 英姿 北の誉」「大吟醸 極大鳳 北の誉」「純米 吟心 北の誉」といった特定名称酒や、生一本、本醸造、辛口タイプなど、様々な消費者の嗜好に合わせたラインナップを展開していました。また、清酒以外では、乙類焼酎「ぴりか伝説」なども製造していました。

広報活動にも積極的で、テレビCMには俳優の二谷英明氏や、北海道を中心に活躍したタレントの佃公彦氏、登山家の三浦雄一郎氏などが起用されました。近年では、北海道出身の演劇ユニットTEAM NACSに所属する安田顕氏や戸次重幸氏が出演したCMも放送されています。また、北海道文化放送で放送されていた人気時代劇「大江戸捜査網」の提供番組としても知られていました。

北の誉酒造株式会社は会社としては歴史を終えましたが、「北の誉」というブランドは、合同酒精によって新たな形でその遺産を未来に引き継いでいます。

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