オエノンホールディングス

オエノンホールディングス株式会社：酒造りの歴史から多角化への挑戦

オエノンホールディングス株式会社は、焼酎をはじめとする酒類製造で名を馳せる合同酒精株式会社を起源とする持株会社です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、その歴史は、創業者の神谷傳兵衛氏にまで遡ります。

神谷傳兵衛氏は、若き日に横浜のフランス人経営の酒類製造所で経験を積み、その後、1880年に東京浅草に「みかはや銘酒店」（後の神谷バー）を開業。酒造りを生涯の事業と定めました。1881年には「蜂印香竄葡萄酒」、1893年には「電気ブラン」など、数々の銘酒を生み出しました。

1900年、神谷氏は北海道旭川市に日本酒類製造株式会社を設立。ドイツから最新の蒸留機器を導入し、高濃度アルコールの製造に挑戦しました。しかし、税制上の不利や設備の問題、原料の高騰など、数々の困難に直面し、会社は解散。1903年、神谷酒造を設立し、事業を継続しました。

神谷氏は、ジャガイモデンプンを原料とした低コストな焼酎生産を目指しましたが、当時の税制により実現は遅れました。1919年の法改正を機に、念願のジャガイモ原料焼酎生産が可能となり、その後の事業拡大の礎を築きます。

1924年、神谷酒造旭川工場を含む北海道内の4社の焼酎製造会社が合併し、合同酒精株式会社が設立されました。これは、不況による経営悪化を乗り越えるため、銀行や酒類卸売業者の仲介による企業合同による経営再建策でした。

第二次世界大戦後、合同酒精は多くの酒類メーカーを買収し、事業規模を拡大。1949年には東京証券取引所に上場を果たします。1992年には、北海道で発売した紫蘇焼酎「鍛高譚」が全国的なヒット商品となり、地道な商品開発の成果を示しました。

2003年、持株会社制に移行し、（旧）合同酒精株式会社はオエノンホールディングス株式会社に社名変更。事業部門は（新）合同酒精株式会社として分割されました。「オエノン」という社名は、ギリシャ神話の酒の女神「オエノ」と、多角化への志向「オン」を組み合わせた造語です。

オエノンホールディングスは、創業の地である北海道をはじめ、青森県や静岡県など各地に工場を展開し、地域に密着した商品開発にも取り組んでいます。九州大学農学研究院との共同開発による芋焼酎「いも九」なども製造しています。

オエノングループは、清酒、焼酎、リキュール、チューハイなど、幅広い酒類製品を製造・販売するだけでなく、食品事業にも展開。長年にわたる歴史と技術を背景に、多角的な事業を展開し、現代においても成長を続けています。

主な商品:

清酒：「富貴」、「大雪乃蔵」、「北の誉」
焼酎：「鍛高譚」、「ビッグマン」、「きたのゆめ」など
リキュール：「電気ブラン」、「鶯宿梅」
チューハイ：「直球勝負」など

沿革における重要な出来事:

1880年：「みかはや銘酒店」開業
1900年：日本酒類製造株式会社設立
1924年：合同酒精株式会社設立
1949年：東京証券取引所上場
1992年：「鍛高譚」発売
2003年：持株会社制移行、オエノンホールディングス株式会社に社名変更

オエノンホールディングス株式会社は、創業以来培ってきた酒造りの技術と、時代の変化に合わせた柔軟な経営戦略によって、これからも発展を続けることでしょう。 その歴史と挑戦は、日本の酒造りの歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

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