北アメリカ北東岸の襲撃 (1745年)

北アメリカ東海岸の襲撃：ジョージ王戦争下のワベナキ連邦による報復作戦

1745年、ジョージ王戦争の最中、北アメリカ東海岸で、ワベナキ連邦によるニューイングランドへの襲撃事件が発生しました。これは、同年に行われたルイブールの戦いへの報復として行われ、アカディアとニューイングランドの境界に位置するケネベック川下流のイングランド人入植地が主な標的となりました。

歴史的背景

1744年、アナポリスロイヤルが二度にわたり攻撃を受けたことを受け、アカディア総督のウィリアム・シャーリーは、フランス側についたペノブスコビー族、ミクマク族、マリシート族に対し、寛大な措置を講じました。しかし、翌1745年8月23日、シャーリーはワベナキ連邦に属するペノブスコット族とケネベック族に対し宣戦布告を行います。これは、同年6月に終結したルイブールの戦いへの報復として、ペノブスコット族とケネベック族がニューイングランドとの国境を攻撃したことに対するものでした。

ニューイングランド側は、アカディア国境沿いに築かれた砦の駐屯部隊を増強することで応戦しました。当初450人だった兵力は、攻撃開始後には175人が追加され、防衛体制を強化。マサチューセッツ湾直轄植民地は、ブランズウィックにジョージ砦（1715年）、トマストンにセントジョージ砦、リッチモンドにリッチモンド砦（1721年）を建設し、ペマキド（現在のメイン州ブリストル）にはフレデリック砦を築きました。

襲撃の経過

1745年7月19日、ノバスコシアで襲撃作戦が開始され、ノバスコシアからのミクマク族、マリシート族、サンフランソワ（セントフランシス）からのインディアンたちが、セントジョージとニューカッスルを攻撃。家や建物に火を放ち、牛を殺害し、住民を捕虜としました。サコでは住民1人が殺害されています。同時期に、ペノブスコット族とノリッジウォック族はペマキドのフレデリック砦を攻撃し、女性1人を捕虜としましたが、彼女の叫び声に気づいた駐屯部隊によって救出されました。同月には、トップシャムで少年が、ニューメドウズで男性1人が殺害されています。また、ワベナキ連邦の兵士30人がノース・ヤーマスを襲撃し、男性1人を殺害。フライングポイントでは、ある家族の3人が殺害され、家の娘が捕虜としてカナダへ連れ去られました。この襲撃では、他に男性1人が殺害され、1人が逃げる間に別の1人が捕虜となっています。インディアンたちはその後、再びトマストンのセントジョージ砦を襲撃し、数人を殺害し、3人を捕虜としました。この砦の近くでは女性2人が捕らえられ、1人は逃亡しましたが、1人は捕虜としてカナダへ連れ去られました。スカボローでも男性1人が殺害され、シープスコットでは2人が殺害され、1人が負傷しています。9月5日には、ワベナキ連邦の諸族が3度目のトマストン（セントジョージ）襲撃を行い、2人を殺害して頭皮を剥ぎました。

その後

この一連の襲撃に対する報復として、シャーリーは翌年の春にワベナキ連邦が作戦を再開すると予測し、メインとアカディアの国境に、より多くの部隊と弾薬を派遣しました。その結果、ワベナキ連邦からの襲撃は、1746年には9回、1747年には12回発生しました。

この北アメリカ東海岸での襲撃事件は、ジョージ王戦争下における、ワベナキ連邦とニューイングランドとの間の緊張関係を浮き彫りにする出来事となりました。

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