北九戸郡

北九戸郡の概要

北九戸郡は、かつて岩手県に存在した郡です。本稿では、その歴史的経緯、行政区分、そして現在の地理的な位置関係について詳細に解説します。

北九戸郡の設立と区域

明治12年(1879年)1月4日、九戸郡が分割され、軽米村を含む32の村を区域として北九戸郡が誕生しました。郡役所は軽米村に置かれ、その管轄区域は現在の九戸郡軽米町、九戸村、洋野町、そして岩手郡葛巻町の大部分（田部地区を除く）、さらに久慈市の一部（侍浜町）に相当します。

当時、北九戸郡に含まれていた32の村は以下の通りです。

北侍浜村
南侍浜村
白前村
中野村
有家村
小子内村
種市村
大野村
阿子木村
帯島村
水沢村
小軽米村
蛇口村
円子村
軽米村
上館村
高家村
長倉村
晴山村
狄塚村
山内村
江刺家村
山屋村
伊保内村
荒屋村
小倉村
長興寺村
雪屋村
戸田村
山根村
葛巻村
江刈村

行政区画の変遷

明治13年(1880年)10月には北九戸郡役所が廃止され、南北九戸役所の設置に伴い、行政運営体制が変更されました。この役所は南九戸郡大川目村に置かれました。

明治22年(1889年)4月1日、町村制の施行により、北九戸郡内の村々は再編され、以下の12の村が誕生しました。この再編では、複数の村が合併して新たな村が成立しています。

侍浜村（北侍浜村、南侍浜村、白前村の合併。現在の久慈市）
中野村（中野村、有家村、小子内村の合併。現在の九戸郡洋野町）
種市村（単独村制。現在の九戸郡洋野町）
大野村（大野村、阿子木村、帯島村、水沢村の合併。現在の九戸郡）
小軽米村（小軽米村、蛇口村、円子村の合併。現在の九戸郡軽米町）
軽米村（軽米村、高家村、長倉村、晴山村の一部、上館村の合併。現在の九戸郡軽米町、洋野町）
晴山村（晴山村の大部分、狄塚村、山内村の合併。現在の九戸郡軽米町）
江刺家村（江刺家村、山屋村の合併。現在の九戸郡九戸村）
伊保内村（伊保内村、荒屋村、小倉村、長興寺村、雪屋村の合併。現在の九戸郡九戸村）
戸田村（戸田村、山根村の合併。現在の九戸郡九戸村）
葛巻村（単独村制。現在の岩手郡葛巻町）
江刈村（単独村制。現在の岩手郡葛巻町）

北九戸郡の廃止と九戸郡への統合

明治30年(1897年)4月1日、北九戸郡は廃止され、南九戸郡とともに九戸郡（第2次）として統合されました。この統合により、郡制が施行されました。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3巻《岩手県》、角川書店、1985年2月7日。
岩手県教育会九戸郡部会 編『九戸郡誌』（復刻版）臨川書店、1986年11月10日（原著1936年11月3日）。

もう一度検索