北人

北人の歴史とその影響

北人（ほくじん）は、李氏朝鮮における重要な官僚派閥で、朝鮮語では「북인」（プギン）と呼ばれています。この派閥は1591年に、王朝内の別の派閥である東人から分派して誕生しました。光海君の時代には、北人が政権を掌握するに至りました。

北人の起源

北人の成立は、宣祖の時代にさかのぼります。この時期、政権を担っていた西人派が、王の後継者に関する議論で失脚したことで、東人派が政権の座に取り付きました。しかし、東人派内では、強硬派と穏健派の二つに分裂しました。強硬派は李山海を中心に、かつて西人派だった鄭澈の死刑を求め、一方で穏健派は禹性伝や柳成龍らが中心となり、対話を重視しました。この二派の対立が北人の基盤を形成しました。

初めは穏健派である南人が優勢だったものの、1602年には南人の柳成龍が戦時中に和解を主張したことで反発を受け、追放されました。これにより北人が次第に政権を握るようになり、北人派の支持基盤が強化されていきました。特に、文禄の役の際には多くの義兵将が北人派に属していたことも影響を与えました。

世子の擁立問題についても重要な要素となります。宣祖には正妃の子がいなかったため、世子の選定がなかなか進まず、特に明の承認が必要とされ、政治的争いが長引く要因となりました。

大北と小北の対立

1606年、正妃が永昌大君を出産すると、北人内部で派閥が分かれました。大北は官僚の長老層を中心に光海君を推し、若手官僚を中心とする小北は永昌大君を支持しました。この対立は木々のように枝分かれし、政治的な緊張を生み出しました。

しかし、1608年に宣祖が亡くなると、この状況は変わりました。正妃の意向を受けて、実績豊富な光海君が世子として即位し、政権を掌握しました。光海君の即位に伴い、大北が政治の主導権を握り、小北を排除するために永昌大君やその兄弟らを排斥しました。

この結果、大北は次第にその内部で骨北、肉北、中北という三つの派閥に分裂し、党争は続くことになります。こうした状況下、1623年の仁祖反正と呼ばれるクーデターが起こり、光海君は廃位されてしまいました。

北人派の影響

光海君の廃位後は西人派が政権を握り、大北派の多くの人物が処刑されたり追放されたりしました。この出来事は北人の政治的影響力を大きく削ぐもので、その後の政治は南人と西人の間での争いが繰り広げられることとなりました。

政治的な波乱の中でも北人は姿を消すことなく小北派として残りますが、徐々にその影響力は薄れていくことになります。明治時代の英祖の改革期には一時的な復権もありましたが、その後は再び政治舞台からは退くことになりました。

代表的な北人派の人物

• - 李山海：北人の指導者的存在。
• - 南以恭：北人派の一員、政治における影響力を持った官僚。
• - 李爾瞻：北人派において重要な役割を担った人物。
• - 鄭仁弘：李氏朝鮮の政治に深く関与した北人派の一員。

北人は李氏朝鮮の歴史において特異な役割を担い、時代ごとの政争の中で独自の影響を及ぼす派閥として存在しました。

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