東人

東人（とうじん）について

概要

東人は、李氏朝鮮の時代に形成された官僚の派閥の一つであり、その起源は士林派にあります。この派閥は地主階級である両班が中心となる勲旧派に対抗する形で発展し、中小の地主を基盤にした新興官僚たちによって構成されていました。

1575年、東人の発展は重要な局面を迎えます。士林派の沈義謙と金孝元によって党争が起こり、金孝元派のリーダーが漢陽（現在のソウル）の東側に居住していたことから、彼らは「東人」と呼ばれるようになりました。この党争はただの権力闘争にとどまらず、朱子学の解釈に関する対立をも引き起こしました。特に東人は、趙光祖の弟子である李滉（退渓）の学説を支持する主理派に多く属していました。

党争と権力の変遷

東人と沈義謙派（西人）との対立が激化すると、当時の大司憲であった李珥は両派の指導者である金孝元と沈義謙を地方に追放。この結果、鄭仁弘が東人の領袖に任命されました。しかし、1584年に李珥が死去すると、党争は一層深刻なものとなりました。

当時、東人は政権をほぼ掌握していましたが、鄭汝立の裏切りによって西人に政権を奪われる事態に陥ります。この謀叛は 東人にとって重大な打撃となりました。それでも、1591年になると、西人が世子の冊封問題で失脚し、再び東人が政権の座を取り戻しました。政権を掌握した東人は、かつての敵である西人に対する粛清を実施しますが、その過程で内部での分裂が起こり、南人と北人として対立が生じました。

関連人物

この時期の東人には多くの重要人物が絡んでいます。例えば、光海君は政治的に重要な役割を果たしましたし、鄭汝立は東人に対する謀叛で悪名を馳せました。また、許筠や鄭澈なども当時の政治の舞台に影響を与えました。金孝元や鄭仁弘も、東人の支持を集めた主要な人物として記憶されています。彼らの活動を通じて、東人は李氏朝鮮時代の官僚政治において重要な役割を果たし続けたのです。

特に、東人と西人の対立は、李氏朝鮮の歴史の中で重要な側面を持つものであり、学問的な動向や政治的な変遷においても多くの影響を及ぼしました。

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