北大人骨事件

北大人骨事件について

北大人骨事件とは、1995年7月26日に北海道大学内の古河記念講堂で発見された遺骨に関する問題です。事件は、段ボールの中に入れられていた6つの頭骨から始まりました。それぞれの頭骨には異なる情報が記されており、「韓国東学党」のもの、3つの「オタスの杜・風葬オロッコ」、そして「日本男子20才」と「寄贈頭骨出土地不明」というラベルが貼られていました。

オタスの杜は、太平洋戦争前に樺太に存在した先住民居住地であり、そこから持ち出された人骨が無断で扱われた疑いがあります。この事件は、アイヌの文化に対する不適切な取扱いを浮き彫りにし、遺骨供養が行われていた歴史的背景を知る手がかりとなります。

事件の背景

1939年から1956年にかけて、北海道大学は研究の名目で、北海道・千島・樺太から1004体のアイヌ遺骨を収集していました。このプロセスは、時には遺族の同意を欠いたまま行われていたため、多くの非人道的行為が指摘されました。アイヌ文化を知識として提供した人物や地域の名士も含まれており、これらの遺骨の取り扱いへの抗議が高まったのは1980年代です。ウタリ協会が遺骨の返還と供養を求めて活動を行い、1984年からの納骨堂に969体の遺骨が収められています。

事件の発端

1995年3月、北海道大学文学部の元教授吉崎昌一が部屋を整理していた際、標本庫の中に「人骨」と書かれたダンボールを発見しました。中身を確認すると、6つの頭骨が新聞紙に包まれて入っていました。後に考古学の専門家が古人骨ではないことを確認しましたが、その由来を調査することにしたのです。翌日、アイヌ民族の男性が頭骨を供養のために取り出そうとしました。この発見は、大学内で大きな議論と調査を引き起こし、古河講堂「旧標本庫」人骨問題調査委員会の設置へとつながるのです。

闘いと止まぬ争点

「アイヌ・モシリの自治区を取り戻す会」のメンバーが抗議に訪れる中、持ち出された頭骨がその代表者のもとにあったことが発覚しました。頭骨は本物であると考えられ、アイヌ民族の伝統的な供養が実施されました。しかし、最終的には頭骨は大学に返還されることになります。

吉崎は当初、遺骨が前任者から引き継がれたものであったと述べましたが、証言が変わり、1969年に頭骨を見つけた際に放置した理由を述べました。

調査委員会の基本方針は、遺骨の関係者を特定し、可能な限り返還するというものでした。「韓国東学党」と記された頭骨はその関連委員会に返還され、他の頭骨もそれぞれに適切な所に返されましたが、返還先が不明なものもあり、仮安置される結果になりました。

結論

北大人骨事件は、歴史的背景を踏まえた上で、遺骨に対する適切な取り扱い、民族と文化への理解、そして人道的な感覚がどれほど重要であるかを示す事件です。これは過去の戒めとして、今後の学術研究や文化交流における配慮を促すものとなるでしょう。

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