北川貝塚

北川貝塚：時代を繋ぐ複合遺跡

北川貝塚は、神奈川県横浜市都筑区早渕に位置する複合遺跡です。この遺跡は、旧石器時代から平安時代に至るまでの長い期間にわたる人々の活動の痕跡をとどめています。

発見の経緯と概要

北川貝塚は、港北ニュータウンの建設に先立つ埋蔵文化財調査として、1980年6月から1983年9月にかけて発掘調査が行われました。早渕川南側の台地上に位置し、横浜市北部地域における古代からの人々の生活を知る上で重要な場所となっています。

各時代の遺構

この遺跡からは、後期旧石器時代の石器群をはじめ、縄文時代前期の貝塚を伴う環状集落、縄文時代中期の集落、弥生時代後期の集落、そして平安時代前期の集落跡が発見されています。特に注目されるのは、関東ローム層から出土した旧石器時代の礫器です。これは、下末吉台地で発見された石器としては最古級とされ、横浜市旭区の矢指谷遺跡と並び、市内で最も古い遺跡の一つとされています。

縄文時代の環状集落

竪穴建物跡や掘立柱建物跡が多数見つかっており、北川貝塚は、縄文時代前期中葉に鶴見川流域に増加・展開した環状集落の一つと考えられています。環状集落は、当時の人々の共同生活や社会構造を理解する上で重要な手がかりとなります。

北川貝塚が語るもの

北川貝塚は、横浜市における人類の活動の歴史を多角的に物語る貴重な遺跡です。旧石器時代から平安時代に至るまでの各時代の遺構が発見されたことは、この地が長期にわたり人々の生活の舞台であったことを示しています。特に、旧石器時代の石器や縄文時代の環状集落は、当時の技術や社会構造を知る上で重要な資料となります。

参考文献
谷口, 康浩『環状集落と縄文社会構造』学生社、2005年3月25日。
坂本, 彰、山田, 光洋、水澤, 裕子、中村, 若枝、澤田, 純明、星野, 敬吾、平田, 和明、伊藤, 薫『北川貝塚』 39巻神奈川県横浜市都筑区勝田町760〈港北ニュータウン地域内埋蔵文化財調査報告〉、2007年3月31日
* 横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター編 2007 『埋文よこはま』15号 財団法人横浜市ふるさと歴史財団

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