北朝鮮による中国人拉致問題

北朝鮮による中国人拉致問題

北朝鮮による中国人の拉致問題は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）が中国人を不法に拘束したとされる事例を指します。これらの拉致は主に1970年代から始まり、1990年代から2000年代にかけても報告されています。しかしながら、北朝鮮政府はその存在を認めておらず、問題は依然として未解決の状態が続いています。

1970年代の拉致事件

1978年、マカオで発生した拉致事件は特に注目されています。当時、ポルトガル領であったマカオでは、観光客を装った北朝鮮の工作員が行動を開始しました。この年の夏、2名の中国人女性、孔令譻と蘇妙珍が拉致されました。孔令譻は20歳の時に、観光名所を巡っていた際に自称日本人の男性に誘われ、海岸で待機していた大きな船に強制的に乗せられ、北朝鮮に連行されることになりました。

この事件は、北朝鮮の工作員による組織的な拉致の一端を証明するものであり、彼女は後に北朝鮮当局の指示に従って、中国語を教える役割を担うこととなりました。

1990年代から2000年代の事例

1990年代以降も、北朝鮮による拉致は続きました。1998年、吉林省の運転手、イ・ソングァンが北朝鮮の国境警備隊に拉致された事件は例の一つです。彼は今なお母国に帰還しておらず、中国側は送還を求めていますが、北朝鮮は応じていません。また、2008年には延辺朝鮮族自治州に住むイ・ギチョンが国家安全保衛部に拘束されました。

2014年には、国際拉致解決連合が声明を発表し、90年代から今日にかけて多くの脱北者やそれを支援している中国人、韓国人が拉致されたことを挙げ、責任が北朝鮮の指導者（当時の金日成、金正日）にあると結論づけました。

現在の状況と解決に向けた取り組み

北朝鮮による中国人拉致問題は、国際的な人権問題としても認識されています。2014年2月、国際連合人権理事会の調査委員会は、北朝鮮に生存している拉致被害者とその子供たちを即時帰国させるよう求めました。また、もし被害者が亡くなっている場合は遺骨の返還を要求しています。

しかし、北朝鮮政府はこれらの要求を無視し続け、拉致の事実を全面的に否定しています。外国人拉致は、相手国に対する主権を侵害する重大な行為であり、国際社会はこの問題の解決を求めています。特に、拉致被害者の解放、犯人の引き渡し、公式な謝罪、そして被害に対する補償といった要求が叫ばれています。

この問題は、国際的な人権問題としての側面を持ち、解決に向けた努力が続けられていますが、北朝鮮側の対応が依然として消極的であるため、進展は見られないのが現実です。

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