北朝鮮爆撃

北朝鮮爆撃：朝鮮戦争におけるアメリカ軍の空爆作戦

1950年代前半、朝鮮戦争中にアメリカ空軍を中心とする国連軍が、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）に対して行った一連の爆撃作戦について解説します。

戦争勃発と空爆の開始

1950年6月、北朝鮮が韓国に侵攻したことをきっかけに朝鮮戦争が勃発しました。これ以降、1953年7月の休戦まで、国連軍は北朝鮮に対して大規模な空爆を継続しました。この空爆は、1947年にアメリカ陸軍航空軍から独立したアメリカ空軍にとって、初の大規模な作戦となりました。

甚大な被害

爆弾、焼夷弾、ナパーム弾などが使用され、北朝鮮全土の都市が大きな被害を受けました。軍民問わず、建物の85%が破壊されたと推定されています。事実上、すべての建築物、都市、村落が攻撃対象となり、戦争終盤には、アメリカ軍の爆撃機が攻撃目標を見つけるのが困難になるほどでした。さらに、ダムへの爆撃は広範囲な洪水を招き、北朝鮮は飢餓の危機に直面しました。

朝鮮半島に投下された爆弾の総量は635,000トンに達し、そのうち32,557トンがナパーム弾でした。この量は、第二次世界大戦中にアメリカが投下した爆弾量と比較しても、非常に大きなものでした。北朝鮮は、南ベトナム、ラオス、カンボジアと並んで、史上最も爆撃を受けた国の一つとなりました。

空爆の背景と展開

朝鮮戦争初期、北朝鮮軍は快進撃を続けましたが、国連軍の仁川上陸作戦によって戦況は逆転しました。その後、中国の参戦によって再び戦況は変動し、国連軍は一時的に後退を余儀なくされました。

アメリカ国務省の意向により、中国と北朝鮮の国境地帯は当初爆撃対象外とされましたが、戦況の変化とともに爆撃は激化しました。

焼夷弾攻撃の激化

アメリカ空軍は、北朝鮮の制空権を掌握すると、物流や産業の中心地に対して大規模な爆撃を行いました。1950年6月29日には、アメリカ極東軍司令官ダグラス・マッカーサーが北朝鮮への最初の爆撃作戦を承認しました。また、7月初頭には、エメット・オドンネル少将が焼夷弾攻撃の許可を要請し、マッカーサーもこれを承認しました。

当初は軍事目標に限定されていた爆撃も、中国の参戦以降、都市部への焼夷弾攻撃が拡大しました。1950年11月には、江界をはじめとする複数の都市が焼夷弾攻撃を受け、多くの建物が破壊されました。

アメリカ空軍は、爆撃対象を拡大し、北朝鮮全土の都市を焼き払いました。その結果、楚山、会寧、煕川、江界、江東、満浦、南浦、朔州、新義州などの都市は壊滅的な被害を受けました。

アメリカ側の評価と認識

アメリカ軍は、北朝鮮の都市を事実上壊滅させたと認識していました。しかし、攻撃対象の精度が低かったため、軍事目標だけでなく、多くの民間人が犠牲になりました。

アメリカ軍高官の間では、北朝鮮の都市が荒廃し、攻撃目標がなくなるほどであったという認識が共有されていました。また、北朝鮮の工場、学校、病院などの施設は地下に避難せざるを得ませんでした。

国際的な調査と批判

国際調査団は、北朝鮮の破壊状況を視察し、破壊を免れた都市や村がほとんどなかったと報告しました。また、イギリスのウィンストン・チャーチル首相は、アメリカ空軍のナパーム弾攻撃を「あまりに残酷」であると批判しました。

ダム攻撃と飢餓危機

戦争後半には、アメリカ軍は水力発電用や農業用のダムを破壊し、農地や穀物を洪水で押し流しました。このダム攻撃により、数百万人の北朝鮮人が飢餓の危機に直面しました。

犠牲者数

北朝鮮の空爆による死者数は、公式には発表されていませんが、推定では数十万人に上るとされています。また、北朝鮮の人口の12〜20%が戦争で命を落としたと推定されています。

影響

この爆撃は、北朝鮮の発展や北朝鮮人の心情に、非常に大きな影響を与えました。北朝鮮政府は、アメリカ軍の空襲に無防備であったという教訓を決して忘れず、対空防衛を強化し、地下施設を構築し、最終的には核兵器を開発しました。

北朝鮮人や一部の外部の者からは、この爆撃は戦争犯罪であったと非難されています。また、歴史家の中には、このアメリカ軍の空襲作戦をジェノサイドと結び付けている者もいます。

アメリカの軍高官は、「軍事目標」の定義を拡大解釈し、北朝鮮の民間インフラも軍事目標と見なして攻撃しました。この拡大解釈は、アメリカ人の意識から、焼夷弾攻撃が朝鮮半島の民間人を苦しめているという事実を曖昧にしました。

脚注

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参考文献

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