北朝鮮資料センター

北朝鮮資料センター（きたちょうせんしりょうセンター、朝鮮語: 북한자료센터）は、大韓民国の統一部傘下に設置された専門機関です。

その主な任務は、韓国内において北朝鮮に関するあらゆる種類の資料を体系的に収集し、研究の基盤を整備することにあります。1989年に光化門郵便局の建物内に開設され、その後2009年7月にはソウル特別市にある韓国国立中央図書館の5階へと移転しました。このセンターは、北朝鮮研究に携わる研究者にとって不可欠な拠点の一つとなっています。

所蔵資料

同センターが所蔵する資料は極めて多岐にわたり、その数は10万点以上に上ります。主要なものとしては、『労働新聞』の創刊号から現在に至るまでの全紙や、金日成主席、金正日総書記の全集といった体制の公式出版物が含まれます。しかし、所蔵資料は政治的なプロパガンダに留まらず、北朝鮮で実際に使用されている児童書や教科書、さらには日用品など、人々の生活や文化を理解するための資料も収集されています。これらの資料は、北朝鮮当局との公式なやり取りを通じて入手されるほか、ロシアや中国といった第三国からの購入によっても集められています。

歴史

北朝鮮資料センターの歩みは、1989年5月の光化門郵便局6階での開館に始まります。開館後、1990年3月には北朝鮮の映画上映会や同国の現状に関する説明会を開催するなど、収集した資料を基にした啓発活動を開始しました。

1998年7月には北朝鮮の教科書を含む資料の巡回展示を行い、より広範な人々に資料へのアクセスを提供しました。同年12月にはホームページを開設し、情報発信の手段を拡充。1999年10月には北朝鮮のテレビ放送をリアルタイムで視聴できる施設を設置しました。

2000年代に入ると、他の機関との連携も深まり、2004年12月には韓国国会図書館との間で電子情報の交流に関する協定を締結しました。2005年1月には統一展示室を設け、統一関連の展示を開始。同年7月には、利用者が直接資料に触れることができる書庫開架制度を全面的に導入し、利便性を向上させました。

2006年5月にはオープンハウスを開催して一般公開を進め、同年10月にはRFID技術を用いた図書館自動化システムを構築するなど、管理体制の近代化を図りました。2007年12月には、統一および北朝鮮関連資料の一部を電子書籍（e-book）として利用可能にし、オンラインでのアクセスを拡充。2008年12月には、所蔵資料検索の精度を高めるため、シソーラス付加機能を導入しました。

そして、施設の更なる充実を図るため、2009年7月には光化門から盤浦洞にある韓国国立中央図書館へと移転しました。移転後も事業は継続・発展し、2010年2月には所蔵資料のデジタル化事業を開始。同年7月にはホームページをリニューアルし、ウェブ上でのアクセス環境を改善しました。2011年5月にはデジタルアーカイブシステムの構築を完了させ、デジタル資料の管理・提供体制を確立しました。

紙媒体資料の保全にも力を入れ、2014年2月からは劣化が進んだ資料の復元・製本事業を開始しました。対外的な活動としては、2015年、2016年の統一博覧会においてブースを運営し、センターの活動や所蔵資料を紹介しました。利用環境の改善も継続的に行われ、2017年11月には図書管理システムとホームページが改めて改編されました。さらに、より多くの利用者のニーズに応えるため、2018年10月からは平日の夜間（木曜日）および週末（土曜日）の開館を開始し、サービス時間を延長しました。

意義と役割

このように、北朝鮮資料センターは、設立以来、資料の収集・管理体制を不断に強化するとともに、サービスの拡充を図ってきました。多様かつ膨大な北朝鮮関連資料を一元的に管理し、研究者をはじめとする利用者に提供することで、北朝鮮社会の実情理解や統一に関する研究の深化に大きく貢献しています。その役割は、分断された朝鮮半島の過去、現在、未来を考察する上で、極めて重要なものと言えます。

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