北条シソ

北条シソ（ほうじょうシソ）

北条シソは、神奈川県小田原周辺地域で栽培されている赤シソの在来品種です。別名「在来しそ」とも呼ばれています。この品種は、他の赤シソに比べて赤みが薄いという特徴を持っています。

起源と歴史

北条シソの起源については、詳しい記録は残されていませんが、有力な説として、戦国時代に小田原を拠点とした後北条氏が、遠征の際に携行した梅干しの赤シソ巻きに使われていたシソに由来するというものがあります。この説が正しければ、北条シソは非常に長い歴史を持つ品種であると言えます。

品種の特徴

現在の市場で流通している赤シソと比較すると、北条シソは赤みがやや薄いという特徴があります。このため、鮮やかな赤色を求める加工業者などからはあまり好まれず、農家は自家用や地元の直売所向けに栽培することが多くなっています。また、種子も自家採取により受け継がれてきたため、現代の品種改良されたものとは異なり、固有の特性を保っています。

栽培状況

かつては小田原地域で広く栽培されていた北条シソですが、現在では栽培農家が激減しており、小田原での栽培はほとんど見られなくなりました。現在、主に生産されているのは、南足柄市や中井町といった近隣地域に限られています。その栽培規模も非常に小さく、わずか数戸の農家によって、細々と生産が続けられています。これは、北条シソが他の赤シソに比べて栽培が難しく、収量も少ないためと考えられます。

流通と用途

北条シソは、その独特の風味から、地元では根強い人気があります。しかし、市場にはあまり流通せず、地元業者が買い付ける程度です。それ以外の生産分は、農家が自家消費したり、地元の直売所に出荷したりするのがほとんどです。北条シソは、主に梅干しを漬ける際の赤シソとして利用されるほか、薬味や料理の彩りとして使われることがあります。

今後の課題

北条シソは、栽培農家の高齢化や後継者不足によって、その存続が危ぶまれています。この貴重な在来品種を後世に伝えるためには、栽培技術の向上や販路の拡大、地域でのブランド化など、様々な取り組みが必要です。

参考文献

神奈川県園芸種苗対策協議会『かながわの地方野菜』2006年3月、p33

関連項目

シソ

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