北沢産業網干鉄道

北沢産業網干鉄道について

北沢産業網干鉄道（きたざわさんぎょう あぼしてつどう）は、兵庫県姫路市にある網干駅から浜田港駅までを結んでいた鉄道路線で、正式な路線名は存在しないものの、運営会社である北沢産業にちなんで名付けられました。この路線は主に国鉄山陽本線と姫路木材港を結ぶ貨物輸送を目的としていました。

設立の背景と沿革

この鉄道は、最初は東京芝浦電気（現在の東芝）の姫路工場および網干工場への物資輸送のために建設された専用線が発祥です。戦時中には貨車を利用して通勤客を運ぶケースもあったと言われています。その後、戦後に東芝が過度経済力集中排除法の適用を受けた結果、その網干工場が西芝電機として独立した際に、専用線は北沢産業に譲渡されました。

北沢産業がこの専用線を引き継いだのち、1966年には地方鉄道としての免許を取得し、形態はさほど変わらないものの、正式に運行を開始しました。実際には工場への物資の輸送はトラックに切り替えられ、運行は縮小傾向にありました。最終的には、国鉄の貨物合理化の流れに影響を受け、1999年に全線が廃止されました。

使用されていた車両

当鉄道で使用されていたディーゼル機関車にはDB1とDB2があり、 DB1は高砂市内に、DB2は北沢産業の駐車場に保存されています。また、姫路市内の一部には未撤去の廃線跡があり、ノスタルジックな思い出を抱かせる存在となっています。1960年代には蒸気機関車も運行されており、廃車された機関車の一部は名古屋の長島スパーランドに保存されていましたが、既に解体されてしまいました。

路線データ

• - 路線距離: 網干駅から浜田港駅までの5.9km。
• - 軌間: 1067mm。
• - 駅数: 4駅（起終点を含む）。
• - 複線区間: なし（全線単線）。
• - 電化区間: なし（全線非電化）。
• - 閉塞方式: 不詳。

歴史の概要

• - 1943年: 東芝姫路工場が操業を開始し、専用線の運用が始まります。
• - 1950年: 北沢産業がこの専用線を譲受します。
• - 1966年: 網干駅から浜田港駅間の地方鉄道の免許を取得し、運営形態を変更します。
• - 1970年: 北沢商店から北沢産業への改称が行われます。
• - 1984年: 国鉄との貨物連絡運輸が実質的に休止となります。
• - 1989年: 全線が廃止され、歴史に幕を閉じました。

駅の構成

この路線には、網干駅、上余部駅、中浜田駅、浜田港駅の4駅がありました。上余部駅は東芝姫路工場の西側に位置し、専用線が接続していました。中浜田駅は西芝電機工場の西端にあり、ここでも専用線が接続していました。また、上余部駅から中浜田駅間には揖保川を渡る213mのトラス橋も存在しており、鉄道の貴重な遺産となっています。

このように、北沢産業網干鉄道は地域の経済活動に貢献した歴史ある鉄道路線でしたが、トラック輸送への移行や国鉄の動向に左右された結果、廃止となりました。今でもその名を聞くだけで、当時の地域の人々の生活やビジネスに密接に関連していた鉄道の存在を振り返ることができます。

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