北海道ガス硬式野球部

北海道ガス硬式野球部

北海道ガス硬式野球部（ほっかいどうガスこうしきやきゅうぶ）は、北海道札幌市に本拠地を置く、日本野球連盟に加盟する社会人野球の企業チームです。北海道における主要なガス事業を担う北海道ガス株式会社が運営母体となっています。

設立の背景と経緯

チーム創設の背景には、北海道ガスの経営戦略の転換がありました。電力自由化が進展し、一般ガス事業者から総合エネルギー企業へと事業領域を拡大する中で、企業グループ全体の結束力を高める必要性が生じました。この目的のもと、2017年の年頭に硬式野球部の設立構想が明らかにされ、当初は2019年度の創設を目指して準備が進められていました。

しかし、同時期にJR北海道硬式野球部が会社の業績悪化を理由にクラブチームへの移行を発表。これにより、北海道から企業登録の社会人野球チームが一時的に姿を消す事態となりました。この状況を重く見た日本野球連盟北海道地区連盟から、道内社会人野球の牽引役となり得るチームの設立を強く打診されたこともあり、北海道ガスは野球部創設計画を1年前倒しすることを決定。2018年に日本野球連盟に正式加盟し、チームが始動しました。これは、1998年に創部されたサンワード貿易硬式野球部（2005年廃部）以来、実に20年ぶりの北海道における企業登録チームの誕生であり、道内社会人野球界にとって大きな意義を持つ出来事となりました。

創部体制と歩み

創部にあたり、監督にはバルセロナオリンピック野球日本代表メンバーであり、社会人野球日本代表のコーチや監督も歴任した小島啓民氏が招聘されました。ヘッドコーチには、かつてサンワード貿易硬式野球部を率いた渡部勝美氏が就任。選手は、大学卒業者9名、高校卒業者2名（うち2017年夏の甲子園に出場した北海道滝川西高等学校出身選手を含む）の新卒選手11名に加え、社内公募で集まった硬式野球経験者5名を加えた合計16名で、チームは船出しました。

2018年4月に正式に創部されたチームは、創部直後の5月に開催された第89回都市対抗野球大会の北海道予選は見送りましたが、同年9月の第44回社会人野球日本選手権大会北海道予選で公式戦デビューを果たしました。この大会では、後に予選を勝ち抜き本戦出場を決める室蘭シャークスから記念すべき公式戦での初勝利を挙げ、チームの第一歩を記しました。同年11月には、充実した練習環境を確保するため、待望の室内練習場が完成しています。

チーム体制には変化もあり、2020年3月末に小島監督が退任。これに伴い、同年4月からは渡部ヘッドコーチが監督代行を務めました。そして2021年2月1日付で、元熊谷組野球部監督の清水隆一氏が新たな監督として就任しました。

全国舞台での活躍

清水新監督のもと、チームは目覚ましい発展を遂げます。2021年シーズンには、まず第46回社会人野球日本選手権大会の北海道地区予選を突破し、チーム史上初の全国大会出場権を獲得しました。さらに同年9月には、社会人野球最大の祭典である第92回都市対抗野球大会の北海道地区予選も勝ち抜き、こちらも初の全国大会進出を果たしました。創部わずか4年目での二大大会連続出場は、チームの急成長を示すものでした。

翌2022年シーズンも都市対抗野球に2年連続で出場。全国の強豪が集まる本戦の1回戦では、強豪として知られる川崎市代表の東芝と対戦し、見事勝利を収めました。これは、北海道ガス硬式野球部にとって都市対抗野球での全国大会初勝利となり、チームの歴史に新たな1ページを加えました。

主要大会の出場歴は、都市対抗野球大会に4回、社会人野球日本選手権大会に1回となっています。

また、チームには元プロ野球選手がスタッフとして名を連ねた時期もあります。2019年から2021年にかけて、元読売ジャイアンツコーチの伊藤博氏が野手コーチとしてチームの指導に携わりました。

北海道ガス硬式野球部は、設立から間もなく北海道の社会人野球界において重要な存在となり、全国の舞台でもその存在感を示しています。今後の更なる活躍が期待されるチームです。

主要大会出場歴・最高成績

都市対抗野球大会：出場4回
社会人野球日本選手権大会：出場1回

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