北海道大学旧札幌農学校昆虫学及養蚕学教室

北海道大学旧札幌農学校昆虫学及養蚕学教室

北海道大学構内にある旧札幌農学校昆虫学及養蚕学教室は、明治時代に建てられた歴史的建造物です。この建物は、文部大臣官房札幌建築出張所（当時）に所属していた建築家、中條精一郎によって設計されました。

沿革

1901年（明治34年）12月 - 竣工
1916年（大正5年）1月 - 昆虫飼育室が増築（昆虫学及養蚕学教室の西翼北側に接続）
1927年（昭和2年）11月 - 昆虫学標本室が増築
1936年（昭和11年）8月 - 昆虫学関連講座が農学部本館へ移転し、建物は空き室となる
1937年（昭和12年）10月 - 北方文化研究室が設置
1990年（平成2年） - 放送大学北海道学習センターとなる
2000年（平成12年）2月 - 放送大学北海道学習センターが移転
2000年（平成12年）4月28日 - 国登録有形文化財に登録
2003年（平成15年）5月 - 北大交流プラザ「エルムの森」となる
2010年（平成22年）6月 - エルムの森が移転
* 2023年（令和5年）9月 - 保存改修され、ワイン教育研究センターとして再生

標本室（標本庫）

昆虫学教室の初代教授であった松村松年の時代に、1927年（昭和2年）に標本室（標本庫）が増築されました。この標本室は、貴重な昆虫標本を火災から守るために、特別な構造となっています。壁は札幌軟石で、床と天井は鉄筋コンクリート造り、窓枠は防火シャッター付きの不燃構造となっています。これにより、万が一の火災発生時にも標本が焼失するのを防ぐ工夫が凝らされています。

長年にわたり、昆虫学の研究拠点として、また教育の場として利用されてきたこの建物は、2000年（平成12年）に国の登録有形文化財に登録されました。これは、建物の歴史的価値と、日本の学術研究における重要な役割が評価された結果と言えるでしょう。

近年では、北大交流プラザ「エルムの森」としての役割を経て、2023年（令和5年）にはワイン教育研究センターとして新たなスタートを切りました。これにより、歴史的な建造物としての価値を保ちつつ、新たな研究分野での活用が期待されています。

現在、北海道大学旧札幌農学校昆虫学及養蚕学教室は、北海道札幌市北区北9条西8丁目に位置しています。この建物は、北海道大学のキャンパス内にあり、一般の方も見学することができます。（ただし、内部の見学については、事前に確認が必要です。）

この建物は、日本の近代教育の歴史を伝える貴重な遺産であり、同時に、未来の研究者たちを育成する場として、その役割を果たし続けています。

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