北海道大学触媒科学研究所

北海道大学触媒科学研究所

北海道大学触媒科学研究所（Institute for Catalysis, ICAT）は、北海道大学内の研究所であり、その設立目的は触媒技術の発展を促進し、化学工業の新しい道を切り拓くことです。この研究所は1943年、当初「触媒研究所」として設立され、その後、1989年には全国共同利用施設の「触媒化学研究センター」に進化しました。そして、2015年には現在の名称「触媒科学研究所」へと変更されています。

設立の背景と歴史

触媒研究所は世界で最も古い触媒研究機関の一つです。設立の大きな要因となったのは、堀内寿郎教授の研究業績です。昭和初期、日本の化学工業は欧米に大きく遅れをとっており、技術や特許の多くを輸入に頼る状況でした。堀内教授は、ドイツやイギリスでの研究を経て1935年に北海道大学に着任し研究グループを形成し、触媒科学研究所の基盤を構築しました。

研究所の設立以来、化学工業の発展に寄与する多くの研究成果を出し続けており、基礎研究から実用化へとつながる活動を積極的に行っています。2010年度には共同研究の拠点としての役割が強化され、現在に至っています。

研究組織

触媒科学研究所は、基礎研究系と研究開発部門に分かれています。基礎研究系では、触媒理論、触媒表面、触媒構造、反応、物質変換、材料、分子触媒、高分子機能科学などの8つの専門部門が存在し、それぞれ異なる視点から触媒の理解と応用を追求しています。

また、研究開発部門には、ターゲット研究部、様々な研究クラスター、産学官連携ユニットなどが設けられ、活動の発展を支えています。これにより、大学間だけでなく、産業界や政府機関との連携も強化され、多角的な研究活動が行われています。

学際的な連携

触媒科学研究所は、2016年に名古屋大学、京都大学、九州大学などの研究機関との連携により、学際統合物質科学研究機構を形成しました。この機構では、融合創発研究が展開されており、様々な分野の専門家たちが集まり、新しい知見を生み出すことを目指しています。

2022年度からは「触媒科学計測共同研究拠点」としての役割も担い、大阪公立大学や産業技術総合研究所との連携を通じて、さらなる研究の深化を図っています。

未来への展望

触媒科学研究所は今後も、国際的な視野を持ちながら触媒技術の研究と実用化を追求し、持続可能な化学工業の発展に寄与していくことを目指しています。環境問題やエネルギー問題、資源の利用効率など多くの課題に対して、科学者たちが集い、解決策を見出す場として役立つことを期待されています。

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