北米植民地戦争

北米植民地戦争の概要

北米植民地戦争、またはフレンチ・インディアン戦争は、17世紀から18世紀にかけて北米大陸で展開された一連の抗争を指します。これらの戦争は主にイギリスとフランスの植民地間の対立によって引き起こされ、欧州での戦争の影響を受けて始まりました。特に、各戦争はヨーロッパの国家間戦争と密接に関連しており、北米における植民地争奪戦の舞台となりました。

名称と国際的な呼称

アメリカ合衆国ではこれらの戦争が「French and Indian Wars」と総称されていますが、特にフレンチ・インディアン戦争（1754年～1763年）はこの一連の戦争の中で最も広く知られています。フランス植民地のケベック州では、別に「Intercolonial Wars（植民地間戦争）」とも呼ばれています。さらに、この時期の英仏間の抗争は、ナポレオン戦争の終結まで続き、「第2次百年戦争」とも称されます。

戦争の概要

北米での戦争は、多くの場合、イギリスおよび大英帝国のアメリカ植民地とその同盟インディアン部族軍（イロコイ連邦）対フランスやヌーベルフランス（現在のカナダ）、その同盟インディアン部族軍（ワバナキ連邦）という構造で展開されました。両国は西部や内陸地域の支配権を巡る争奪戦を繰り広げました。

ウィリアム王戦争

この戦争は1689年に英仏の対立が始まったことを背景とし、北米では英領アメリカと仏領カナダが戦争の火蓋を切りましたが、大きな勝敗には至らず、1697年のレイスウェイク条約により一時的に停戦となりました。

アン女王戦争

1702年から1713年に掛けて、欧州のスペイン継承戦争に呼応し、英軍は仏領のポートロワイヤルを占領。1713年のユトレヒト条約により、ニューファンドランド島とハドソン湾地域を獲得しました。

ジョージ王戦争

1744年から1748年にかけて戦われたこの戦争では、ニューイングランド植民地軍がカナダ東部の要塞を攻撃したものの、結局は要塞をフランスに返還することになりました。

ル・ルートル神父戦争

1749年にイギリスの入植者がハリファックスを設立したことをきっかけに、ミクマク族との対立が激化。不利な状況にあったが、最終的にはイギリスが勝利しました。

フレンチ・インディアン戦争

この戦争は、1754年から1763年にかけて続いた英仏植民地戦争で、最初はフランス軍が優勢でしたが、最終的にはイギリス軍がカナダ全域を掌握する結果となりました。1762年にはフランスがルイジアナ植民地をスペインに割譲、パリ条約（1763年）ではミシシッピ川の東側とカナダ全域をイギリスに譲渡することになりました。これにより、フランスは北米の植民地を失い、イギリスは北米での支配を強化しました。

戦争の影響

これらの戦争の結果、イギリスは北米における圧倒的な支配力を確立しましたが、フランスの脅威が消えるとニューイングランド植民地は独自の道を歩むようになり、英国の政策に対する不満が高まりました。これがアメリカ独立戦争の引き金となります。さらに、アメリカ大陸の西部開拓に伴い、メキシコやテキサスの独立運動も進展し、米墨戦争を経てアメリカ合衆国が拡大していく道筋を描きました。

北米植民地戦争は、アメリカ合衆国成立の基盤を作り、後の独立運動や領土拡大に大きな影響を及ぼしました。

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