英領アメリカ

イギリス領アメリカおよびイギリス領西インド諸島

イギリス領アメリカ（British America）は、イングランド王国及びその後のグレートブリテン王国が、1607年から1783年の間に維持した広範な植民地であり、バミューダ諸島、北米、中央アメリカ、カリブ海地域、更にはガイアナを含んでいました。この時期、イギリス領アメリカ全体は「英領アメリカおよび英領西インド諸島」（British America and the British West Indies）と呼ばれ、1783年にアメリカ合衆国の独立が宣言されるまで、この名称が広く用いられていました。それ以降、この地域に残されたイギリスの植民地は「イギリス領北アメリカ」として知られるようになりました。

歴史的背景

英領アメリカは、1606年から1670年にかけて、イングランドの君主たち（ジェームズ1世、チャールズ1世、イングランド共和国、チャールズ2世）の勅許の下で設立された植民地として始まりました。最初の植民地はバージニア会社によって作られたジェームズタウンであり、ここでイギリスからの植民者たちが新世界に移住することになります。それまでに、バージニア地域には約14,000の先住民が住んでおり、彼らは最初の植民者たちとの交流を図り、共存を試みました。

1775年には、イギリスは北アメリカに20の植民地を持っており、その中には後にアメリカ合衆国となる13の植民地が含まれていました。余剰領土もいくつかありましたが、1783年のパリ条約により、スペインやアメリカ合衆国に割譲されることになります。これは、アメリカ独立戦争の影響を強く受けた結果です。

植民地の構成

1775年時点での植民地は、新イングランド植民地群、中部植民地群、南部植民地群に分けられます。新イングランドにはマサチューセッツ湾やニューハンプシャー、コネチカットなどがあり、中部にはニューヨークやペンシルベニアが含まれます。南部にはバージニアやジョージアなどが存在し、多彩な文化と社会が形成されていました。

1763年に獲得した西フロリダや東フロリダなどの植民地は、最終的にはスペインやアメリカ合衆国に引き渡され、元々の英領北アメリカの植民地は1867年から1873年にかけてカナダ自治領へと再編成され、さらにニューファンドランドは1949年にカナダに統合されます。

植民地の衰退とその後

1783年以降、残ったイギリスの植民地は英領北アメリカと呼ばれるようになり続きました。カナダ地方に残された植民地は、多くがカナダの形成に寄与し、他の植民地はカリブ海地域においてイギリスの影響を持ち続けました。これにより、イギリス領アメリカ全体の歴史は、単に「植民地」としてではなく、後の国々や地域形成の基盤を築く重要な時代と位置づけられることになります。今なお、多くの地域の文化や制度にその影響が色濃く残っています。

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