北郷忠亮

北郷忠亮の生涯

北郷忠亮（ほんごう ただすけ）は、江戸時代初期の薩摩藩士であり、都城私領主である北郷氏の14代当主として知られています。彼は慶長19年（1615年）12月27日に、北郷氏12代当主である北郷忠能の次男として誕生しました。

寛永元年（1624年）、忠亮は兄の翁久と共に鹿児島城で元服し、権頭忠亮と名を改めます。その後、寛永7年（1630年）には江戸へ参府し、将軍徳川家光および大御所徳川秀忠に拝謁を果たしました。この際、太刀などを献上し、白銀を拝領しています。

翌年の寛永8年（1631年）、父である忠能が病死し、兄の翁久もすでに亡くなっていたため、忠亮は北郷氏の家督を相続することとなりました。北郷氏は、島津氏の家臣でありながらも、3万石を超える領地を持つ大身であり、足利尊氏や豊臣秀吉から直接知行を宛がわれたという由緒を持つ、独立志向の強い家柄でした。そのため、島津宗家の意向に従わないこともありました。

忠亮が家督を継いだこの時期、鹿児島藩主の島津家久は、北郷氏への支配を強化しようとしました。島津家久は、北郷氏が宗家に反抗的であった父・忠能の治世を批判し、忠亮に対しては訓戒の文書を発しています。また、忠能の家老であった北郷久俊とその一族は、忠能の悪政に関与したとして粛清され、北郷氏は島津宗家から強い圧迫を受けるようになりました。

寛永10年（1633年）、忠亮は島津宗家の人質として江戸へ参府しましたが、翌寛永11年（1634年）、江戸にて21歳という若さで病死しました。

忠亮の死後、北郷氏の家督は、忠亮の遺言により、彼の姉（法号「春嶺良仲大姉」）の婿であり、家久の三男である久直を養子として迎え相続させることになりました。この決定は、北郷氏の一族や家臣からは強い反発を招いたとされています。

このように、北郷忠亮は、若くして家督を継ぎ、島津宗家との関係に苦慮しながらも、その短い生涯を終えました。彼の生涯は、江戸時代初期における大名家の複雑な人間関係と、家と家の権力闘争の一端を示すものとして、歴史の中に刻まれています。

参考文献

鹿児島県立図書館 編『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』1973年。
瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年。
『都城市史』
『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年。

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