北郷翁久

北郷翁久（ほんごう おきひさ）

北郷翁久は、江戸時代初期の薩摩藩士であり、都城私領主である北郷氏の13代当主です。

生涯

慶長15年（1610年）、12代当主である北郷忠能の嫡男として誕生しました。幼少の頃より、その将来を嘱望されていたことが窺えます。

元和元年（1615年）、わずか5歳にして島津宗家の人質として駿府に上り、徳川家康に拝謁するという重要な役目を果たしました。その際、太刀や縮緬などを献上し、家康からその才能を認められたと伝えられています。その後、江戸へ参府し、将軍徳川秀忠にも拝謁し、太刀や帷子などを献上、羽織などを拝領しました。このことからも、彼が幼少の頃から、薩摩藩において重要な人物として扱われていたことがわかります。

寛永元年（1624年）には、鹿児島城において元服し、成人としての第一歩を踏み出しました。同4年（1627年）には、藩主島津家久の娘を娶り、名実ともに薩摩藩の有力者としての地位を確立しました。しかし、その翌年、鹿児島において19歳という若さで病に倒れ、この世を去りました。早すぎる死は、多くの人に惜しまれたことでしょう。北郷氏の家督は、弟の忠亮が相続しました。

翁久は、短い生涯ではありましたが、その間に徳川家康や徳川秀忠に謁見するなど、重要な役割を担いました。若くして亡くなったものの、その存在は、薩摩藩の歴史において重要な意味を持っていると言えるでしょう。

参考文献

『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』鹿児島県立図書館、1973年。
瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年。
* 『都城市史』

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