北野廃寺跡

北野廃寺跡について

北野廃寺跡（きたのはいじあと）は、愛知県岡崎市北野町に位置する、飛鳥時代に創建された寺院の遺跡です。この場所は、国の史跡に指定されており、歴史的な価値を持つ重要な文化財です。

寺院の概要

北野廃寺は、矢作川の中流右岸に広がる碧海台地の南東部に存在します。この寺院は物部氏氏寺と推定されており、創建されたのは飛鳥時代前期（7世紀）と考えられています。寺院は平安時代中期（10世紀後半）には廃絶したとされ、三河最古の古代寺院の一つとされています。境内の面積は東西126.5メートル、南北140メートルにも及び、その広大さを窺わせます。

1929年に国の史跡に指定され、1964年の発掘調査や1977年の史跡公園整備に伴う調査によって、塔や金堂、講堂の基壇などが発見されました。特に、廻廊跡や寺地を囲む土塁も検出され、歴史の一端を明らかにする貴重な遺物となっています。中門や南大門の跡は基壇が削平されていたため、その正確な位置は推定にとどまりますが、堂塔の配置は四天王寺式伽藍配置として確認されています。

発見された遺物

塔の跡では、基壇や心礎を除く礎石はすべて失われていますが、基壇の地覆石の抜き取り跡から一辺11.35メートルというサイズが推定されています。また、半地下式に埋設された心礎には柱座の径から法隆寺五重塔と近い規模であったことが明らかとなっています。金堂の基壇は東西15.3メートル、南北13.2メートルとされ、塔の規模に比べるとやや小型です。講堂の基壇はその規模が東西30.15メートル、南北16.25メートルで、平面の構造は桁行8間、梁間4間と推定されていますが、面白いことに、講堂の中心線は塔や金堂の中心を結ぶ中軸線から一間分西にずれているという特徴があります。

出土した遺物には、瓦、瓦塔、塼仏、磬形垂飾、鉄釘をはじめ、須恵器、灰釉陶器、彩釉陶器などがあります。特に、発見された鐙瓦の瓦当紋は、この地域特有のもので、高句麗の影響を強く受けていることがわかります。このことから、畿内とは異なる経路で寺院技術が伝わっていた可能性も示唆されています。また、青銅製の磬形垂飾は大変珍しく、本寺以外では正倉院のみで確認されています。

他の地域からも、北野廃寺で出土したものと同様の六弁蓮華文瓦が発見されており、舞木廃寺や寺領廃寺、別郷廃寺との間に何らかの関係があったことが考えられています。出土品は現在、岡崎市美術博物館に所蔵されています。

アクセス

北野廃寺跡への交通アクセスは、愛知環状鉄道の北野桝塚駅から徒歩約10分、また名鉄バスの「北野」バス停からは徒歩約5分で行くことができます。この場所は、歴史的な探訪に適した魅力的なスポットです。

北野廃寺跡は、古代寺院の遺構や、発見された数々の遺物の数々を通じて、当時の人々の生活や宗教観を知るための貴重な資料となっています。これにより、歴史的な理解を深めるための重要な役割を果たしており、訪れる価値のある場所です。

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