北野駅 (京都府)

北野駅：北野線の歴史を刻んだ停留場

京都市上京区東竪町に存在した北野駅は、京福電気鉄道北野線の停留場として、地域の生活に密着した歴史を持つ駅でした。現在は廃駅となっていますが、その歴史と周辺環境を知ることで、京都の近代化の一端に触れることができます。

開業から廃止まで

北野駅は、1925年（大正14年）11月3日、京都電燈が経営する嵐山電鉄北野線の開業に伴い、起点駅として誕生しました。高雄口（現在の宇多野駅）までを結ぶ路線の出発点として、多くの乗客で賑わったことでしょう。その後、1942年（昭和17年）3月2日には、京福電気鉄道に譲渡されました。

しかし、1950年代後半、今出川通の拡張工事が進められることになります。この工事により、京都市電今出川線が北野紙屋川町から北野白梅町まで延伸される計画が持ち上がり、北野線は北野駅―白梅町（現在の北野白梅町駅）間を市電に譲渡することになりました。この結果、1958年（昭和33年）7月、北野駅―白梅町間は休止、そして同年9月16日、北野駅は廃止されました。これにより、北野白梅町駅が北野線の新しい起点となりました。

駅舎と周辺環境

北野駅は、櫛形ホーム2面3線の地上駅で、木造の簡素な駅舎が特徴でした。駅周辺には、北野天満宮の南側エリアに位置し、西雲寺、高津古文化会館、京都府上京警察署といった施設がありました。また、今出川通（京都府道101号銀閣寺宇多野線）、御前通、天神通、一条通といった主要な道路や、天神川（紙屋川）も近くを通っていました。北野天満宮をはじめとする周辺環境は、多くの参拝者や地域住民にとって親しみ深い場所であったことでしょう。

廃止後の現状と歴史的意義

北野駅の跡地は、現在、京都佛立ミュージアムとなっています。駅舎は既に存在しませんが、その周辺の環境は、かつて北野線が運行していた頃の様子をしのばせるものかもしれません。北野駅は、北野線の歴史において重要な役割を担い、地域の交通発展に貢献しました。その歴史を振り返ることで、現代の交通網の発展や都市計画の歴史を考える上で貴重な事例となるでしょう。 今出川通の拡張という都市開発と、それに伴う鉄道路線の変更は、日本の高度経済成長期における都市の姿を反映しており、北野駅の変遷はその一例として、歴史的意義を持つと言えるでしょう。

隣の停留場

北野線の廃止により、北野駅と白梅町駅（現在の北野白梅町駅）の間の運行はなくなりました。現在、北野白梅町駅は北野線の起点となっています。

まとめ

北野駅は、その短い歴史の中で、地域住民の生活を支え、発展に貢献しました。廃止された現在も、その存在は京都の歴史に刻まれたままです。跡地である京都佛立ミュージアムを訪れる際には、かつてそこにあった北野駅の歴史に思いを馳せてみるのも良いでしょう。

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