宇多野駅

宇多野駅：嵐電の桜並木と歴史を刻む停留場

京都市右京区宇多野長尾町に位置する宇多野駅は、京福電気鉄道北野線沿線にある停留場です。駅番号はB4。高雄への玄関口として開業した歴史を持ち、その変遷と周辺環境、そして意外な一面を紐解いていきます。

高雄口駅から宇多野駅へ：歴史の軌跡

1925年、嵐山電鉄北野線の開業と同時に、当駅は「高雄口駅」として誕生しました。駅名の由来は、北西に位置する高雄への最寄りの停留場であったことにあります。当時の駅名標には旧仮名遣いの「たかをぐち」と表記され、ローマ字表記は「TAKAOGUCHI」でしたが、一部の観光案内図では「TAKAWOGUCHI」と表記されていたこともあったようです。

その後、1926年には高雄口 - 帷子ノ辻間の延伸開業により中間停留場となり、1942年には京福電気鉄道に路線が継承されました。そして、2007年、現在の「宇多野駅」へと改称されました。実に82年の歴史を刻む駅なのです。

停留場の構造と周辺環境

宇多野駅は、千鳥式ホーム2面1線の地上駅です。帷子ノ辻方面行きホームには東側に1ヶ所、北野白梅町方面行きホームには2ヶ所の出入り口があります。北野白梅町方面行きホームの向かい側には、かつて行き違い設備があったことを偲ばせる苔むしたホーム跡が残されており、歴史を感じさせます。戦後長らく北側ホームのみでしたが、1982年の車両ワンマン化を機に、現在の帷子ノ辻行きホームが追加されました。

駅周辺は豊かな自然と歴史に彩られています。隣の鳴滝駅との間には、ソメイヨシノが続く美しい桜並木があり、「嵐電 桜のトンネル」として知られています。また、数多くの寺院や、京都市立宇多野小学校、嵯峨野病院、聖イエス会本部、嵯峨野教会、京都宇多野郵便局、福王子神社などが周辺に点在し、地域の中核を担っています。さらに、京都市営バスや西日本JRバスの停留所も近くにあります。

映画・ドラマの舞台として

宇多野駅は、数々の映像作品にも登場しています。ABC系列の土曜ワイド劇場『京都殺人案内』では、音川刑事（藤田まこと）の自宅最寄りの停留場として設定され、ロケが行われました。また、2018年には映画『ママレード・ボーイ』のロケ地にも使用されました。

アクセスと周辺情報

宇多野駅は、京福電気鉄道北野線の御室仁和寺駅と鳴滝駅の中間に位置しています。周辺には、観光名所や生活施設が充実しており、静かな住宅街と自然豊かな環境が調和したエリアとなっています。嵐電の旅の拠点として、また、周辺の散策を楽しむための出発点として、宇多野駅は魅力的な場所です。

終わりに

長い歴史と、桜並木という美しい景観、そして映画やドラマの舞台として華々しく彩られた宇多野駅。その存在は、地域のシンボルとして、これからも多くの人々にとって大切な場所であり続けるでしょう。

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