北長沼駅

北長沼駅（きたながぬまえき）

北長沼駅は、かつて北海道夕張郡長沼町に存在した、夕張鉄道線の駅でした。広々とした農業地帯の中に位置し、特に収穫期には周辺地域の農産物が集められ、鉄道で運び出される拠点として活気に満ちていました。その役割を終え、1975年に廃止された駅です。

駅の概要と役割

夕張鉄道線の中間駅として、地域の主要産業であった農業を支える重要な役割を担っていました。駅周辺には、農産物を一時的に保管するための倉庫が数多く立ち並び、鉄道輸送の要衝として機能していました。終日駅員が配置され、貨物と旅客双方の取り扱いを行っていたものと思われます。

歴史

北長沼駅の歴史は、1930年11月3日に「長沼駅」として開業したことに始まります。この時点から、地域経済に不可欠な鉄道駅としての歩みを始めました。駅名が「北長沼駅」と改称されたのは、開業から時を経た1954年1月16日のことです。

しかし、エネルギー政策の変化やモータリゼーションの進展など、社会状況の変化は鉄道にも影響を与え始めます。夕張鉄道線全体の合理化が進む中で、北長沼駅もその流れに組み込まれていきます。1974年4月1日には旅客営業が休止され、実質的に駅の機能は大幅に縮小されました。そして、夕張鉄道線の全線廃止に伴い、1975年4月1日をもって、北長沼駅はその約45年間の歴史に静かに幕を下ろしました。

駅構造

廃止される前の北長沼駅は、地上駅として、一本の島式ホームとその両側に敷かれた二つの線路（1面2線）を有していました。これにより、列車の行き違いや、貨物の積み降ろしに対応できる構造となっていました。駅舎には終日駅員が配置されており、利用客や貨物取り扱いへの対応にあたっていました。

駅周辺

現在の北長沼駅周辺は、インプットの情報通り、変わらず広大な農業地帯が広がっています。かつて農産物の集散地として賑わった名残として、当時の農業倉庫が駅の跡地近くにいくつか見られます。これらは、駅が地域経済にとってどれほど重要であったかを物語る数少ない物理的な痕跡と言えるでしょう。

駅の周辺には、長沼町役場の北長沼出張所や北長沼郵便局といった公共施設がかつてから存在し、地域生活の中心地としての役割も担っていました。また、駅へアクセスするための道路として、北海道道451号北長沼停車場線が整備されています。

鉄道が廃止された後、地域の公共交通を担っていたものに、夕張鉄道バスの路線がありました。駅前に「北長沼」停留所が設置され、多くの住民が利用していましたが、時代の変化とともにバス路線網も見直され、残念ながらこのバス停留所も2023年10月に廃止されています。

隣の駅

夕張鉄道線における北長沼駅の隣駅は、以下の通りです。

双葉駅 - 北長沼駅 - 中央農試前駅

北長沼駅は廃駅となりましたが、周辺に残る農業倉庫や地域住民の記憶の中に、かつての鉄道駅としての賑わいや役割が静かに息づいています。

関連項目

日本の鉄道駅一覧
廃駅
夕張鉄道

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