匿名・流動型犯罪グループ

匿名・流動型犯罪グループの実態と影響

2023年7月、警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ」を、SNSを通じて多様な犯罪活動に従事する組織として定義しました。この集団は、緩やかな結びつきによって形成され、頻繁にメンバーが入れ替わる特徴を持っています。略称は「匿流（とくりゅう）」と呼ばれています。

組織の特徴

この犯罪グループは、暴力団や準暴力団との関係が指摘されることもありますが、従来の反社会的勢力とは異なり、厳しい統制が存在しません。これにより、メンバーが独自の判断で犯行に及ぶことが多いとされています。特に、SNSを通じた犯罪の募集や実行が一般化しているため、警察の捜査は難航しています。

検挙状況と捜査強化

2024年3月までの3年間にわたり、このグループに関連する犯罪で検挙された人数は1万人を超えました。具体的な内訳を見てみると、特殊詐欺が6170人、薬物関連の犯罪者が2292人、また犯罪インフラに関連する者が1721人、さらに闇バイトに関与した実行犯が195人という結果になっています。

警察はこの集団の活動を抑制するため、捜査を強化しており、特に特殊詐欺に関連する犯罪には注力しています。この特殊詐欺は、各都道府県警察の管轄を超えて行われるため、2024年4月には警察庁が中心となり「特殊詐欺連合捜査班」が設置されました。

暴力団との関係

匿名・流動型犯罪グループの中には、収益の一部を暴力団に上納する実態が確認されています。このため、暴力団と共謀して犯罪を行う事例も存在します。こうした関係性の中には、暴力団とこの犯罪集団との結節点としての役割を果たす者も見られるため、複雑なネットワークが形成されていることが分かります。

関連事件

特に注目すべきは、2022年5月以降に発生した「ルフィ広域強盗事件」です。この事件の主犯は、もともと特殊詐欺に関与していたメンバーであり、海外からSNS等を通じて実行グループを集め、指示を行っていたとされています。このことから、匿名・流動型犯罪グループが、新たな手法で犯罪を実行していることが明らかになりました。

結論

匿名・流動型犯罪グループは、SNSを利用した新しい形の犯罪集団であり、急速にその実態を拡大しています。このような動向に対して、警察は捜査の効率を向上させるため、行政の枠を越えた取り組みを強化しています。今後もこの問題に対する関心が高まることが予想され、私たち市民も注意が必要です。

もう一度検索