十一年式七糎半野戦高射砲

十一年式七糎半野戦高射砲

十一年式七糎半野戦高射砲（じゅういちねんしきななせんちはんやせんこうしゃほう）は、1922年に日本陸軍において制式訂正された、最初の高射砲です。この高射砲は、その名の通り、主に野戦で使用され、性能向上を目指して設計されました。

開発の背景

高射砲の開発は、第一次世界大戦の青島攻防戦を経て始まりました。特に、航空機の急速な発達に対抗する必要性が高まる中で、1920年に開発が開始されました。当時、航空機の脅威は増しており、従来の砲火力だけでは対抗が難しいと考えられていました。その結果、設計は迅速に進められ、1922年には正式に制式化されることとなりました。

設計の際には、完成を急ぐために技術的な手間を省き、可能な限り既に存在する三八式野砲との共用が図られました。この相互運用性は、生産コストの削減や兵器としての導入を迅速化するために効果的な方策でした。高射砲には、野戦型の他に、固定砲床に設置する陣地型や、対地・対艦戦闘に対応する要塞加農砲型が存在し、さまざまな運用が可能でした。

運用における課題

ただ、十一年式七糎半野戦高射砲は、制式制定時点でその性能が他の新型と比べて劣っていたため、1928年までに生産されたのは全44門に過ぎません。この数は、約10個の高射砲中隊を構成できるに過ぎず、規模としては限られたものでした。それでも、この高射砲は、高射砲として必要な機能や周辺機器を一通り備えていたため、初期の対空射撃戦術の検討や実践に役立ちました。

八八式七糎野戦高射砲が登場すると、十一年式高射砲は急速にその地位を失い、太平洋戦争が始まる頃には、ほとんどが引退していました。しかしながら、一部の要塞では備えられ続けていたことが分かっており、本土決戦に備えて再び活用されたとも考えられています。ただし、具体的にどのような形で再登場したかの詳細ははっきりしていません。

1933年には臨時装甲列車の主砲としても搭載され、その存在価値を示しましたが、結果的にはその後の技術的進展により、主流の兵器としては退くこととなりました。こうして、十一年式七糎半野戦高射砲は、日本陸軍の歴史の中で重要な役割を果たしつつも、その宿命を全うすることとなったのです。

参考資料

• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

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