三八式野砲

三八式野砲とその改造型

三八式野砲（さんはちしきやほう）は、1900年代中頃に開発され、大日本帝国陸軍で使用された野砲です。この砲は、日露戦争中に必要とされる火力を今後の戦闘に役立てるために、1907年に正式に採用されました。特に注目すべきは、三八式野砲の改良型である改造三八式野砲（かいぞうさんはちしきやほう）です。本稿では、この両者について詳しく見ていきましょう。

三八式野砲の歴史

三八式野砲は、1904年の日本陸軍による新型火砲の発注に由来します。この時、ドイツのクルップ社から、砲身後座式の駐退復座機を備えた新型の75mm野砲が開発されました。しかし、日露戦争の終局に近づいていたため、これらの砲を使用する機会はありませんでした。このため、三八式野砲は小改良を加え、1907年に制式採用されました。

その後、大阪砲兵工廠では約3,000門が生産され、野砲兵連隊の主力となりました。また、軽量化された四一式騎砲も作られ、騎兵部隊に配備されました。三八式野砲の駐退復座機は、その設計により他の同型の野砲と比べてやや大型でしたが、弾薬は統一されており、いくつかの規格に互換性がありました。

実戦投入と活躍

三八式野砲は、第一次世界大戦において初めて実戦に投入され、青島攻略戦や南洋諸島の攻略作戦で使用されました。しかし、日本の参戦は限定的であり、大きな戦果を上げることはできませんでした。その後のシベリア出兵においても、継続的に使用されました。

改造三八式野砲の開発

第一次世界大戦後、欧州各国では野砲の射程を延ばす必要が高まり、新型砲の整備が急務となりました。そのため、既存の三八式野砲を改修し、射程を向上させる改造三八式野砲が開発されました。この改良では、砲脚の形状を変更し、駐退復座機の強度を向上させる工夫がなされました。

この新型砲は仰角を大きく取ることが可能となり、射程を約3,000メートル延ばすことに成功しましたが、その一方で重量も増加し、扱いに注意を要するようになりました。部隊に配備された後には、駐退復座機と砲架に関連する故障が多発し、信頼性の問題が浮上しました。

軍備の変遷と終焉

1935年頃には新型の九〇式野砲が開発されましたが、その重さから機動力低下が懸念され、更なる軽量化を求めた結果、九五式野砲が採用されました。このように新型砲が次々と登場しても、改造三八式野砲は生産数が限られており、戦後まで運用され続けることになりました。

まとめ

三八式野砲とその改造型の歴史は、大日本帝国陸軍における火力の発展の一端を担っていました。改修により一時的な解決策とされたものの、技術の進歩が求められる中で、精度や信頼性に課題を残しながらも、終戦まで用いられたことが特徴です。今後の研究においても、この野砲がどのような影響を及ぼしたのか、改めて考察することが求められています。

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