十一試機上作業練習機

十一試機上作業練習機（K7M）

十一試機上作業練習機は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に日本海軍のために設計された練習機です。この機体は、三菱重工業によって開発され、機体略号はK7Mで知られています。この練習機は、九〇式機上作業練習機の後継機として期待されましたが、最終的には不採用となりました。

開発の背景

1936年（昭和11年）に、海軍は三菱重工に対し、九〇式機上作業練習機の後継モデルとなる大型で近代的な双発練習機の開発を指示しました。双発機が選ばれた理由は、当時の新型高性能爆撃機である九六式陸上攻撃機の操縦士を育成する際に、双発機での訓練が適切だと判断されたためです。また、双発機の特性を活かすことで、一度に多くの練習生を訓練するという効率的な訓練が可能になることも重視されました。さらに、片発飛行訓練ができることが開発の条件の一つとして求められました。

設計と特徴

三菱は、1938年に試作機2機を完成させました。本機は全金属製で、片翼単葉の固定脚を備えた双発機です。機体内部は九〇式に比べて広く、これにより操縦席と教育用キャビンの往来がスムーズに行える設計になっています。また、爆撃機用の旋回銃座射撃訓練用スペースも確保されていたことが特徴の一つです。機体の構造は九六式艦上戦闘機や九六式陸上攻撃機と多くの共通点があり、量産のしやすさや製造コストの抑制も考慮されています。

評価と不採用

海軍によるテストでは、十一試機の性能や信頼性は十分に評価されました。しかし、日華事変の影響で練習機よりも戦闘機や爆撃機の需要が高まり、本機のような高性能な機体でなくても訓練は可能であるとの意見が海軍内で根強く残りました。このため、最終的にこの練習機は不採用となり、試作された2機のみが製造される結果となりました。

その後、試作機2機は横須賀航空隊に配置され、連絡や輸送任務に使用されました。

スペック

この機体の主な性能は以下の通りです。

• - 全幅: 20.00 m
• - 全長: 13.26 m
• - 全高: 3.46 m
• - 機体重量: 2,550 kg
• - 全備重量: 3,800 kg
• - エンジン: 瓦斯電「天風」11型 空冷9気筒 340 hp×2
• - 最大速度: 259 km/h
• - 航続距離: 926 km
• - 実用上昇限度: 5,800 m
• - 武装: 7.7mm機関銃×1、爆弾30kg×3を搭載可能
• - 乗員: 7～8名

関連項目

この機体に関連するものとして、練習機の一覧や、白菊などの後継機が挙げられます。白菊は、十一試機上作業練習機の後に開発された九〇式機上作業練習機の後継機です。

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