十一試艦上爆撃機

概要

1936年、昭和11年に日本海軍は、艦上爆撃機の開発を愛知航空機と中島飛行機、三菱に命じました。三菱は後にプロジェクトから撤退しましたが、愛知と中島はそれぞれ独自の機体を試作しました。このプロジェクトにおける艦上爆撃機は「十一試艦上爆撃機」として知られ、日本の航空機設計における重要な一歩となりました。

中島飛行機では、金属製の低翼単葉機を採用し、その外観は愛知製の機体（後の九九式艦上爆撃機）に似ていましたが、最大の特徴は主脚の設計でした。本機には主脚が90度回転し後方に引き込まれる仕組みがあり、これは当時の日本の航空機としては初の試みでした。また、急降下時にはその主脚を引き下ろしてダイブブレーキとして利用することが考えられていました。

しかし、このダイブブレーキ機能は、急降下時の速度制御には不十分であることが後に判明しました。そのため、最終的には主翼の下面に細かい穴のあいたダイブブレーキが追加されることとなります。試作1号機は1938年に完成しましたが、搭載予定の納期は既に過ぎており、愛知の機体が先に受領されることとなりました。それにも関わらず、中島の機体も海軍に受領され、翌年には試作2号機も完成し、性能比較の審査に参加しました。

詳細な開発経緯

中島の機体は特に進歩的な設計ではありましたが、愛知製の機体と比較すると速度や運用性において劣っていたため、昭和14年の12月には不採用が決定されました。この結果、試作機は中島に戻され、改良や実験に利用されることになりました。特に、自社製エンジンのテストベッドとしての役割が大きく、栄や誉などのエンジン開発に貢献しました。中島での試作機は、さまざまな形で使われ、終戦まで存続していた機体もありました。

また、当時陸軍も急降下爆撃機の開発を進めており、現在の急降下爆撃機に転用することを考えた時期もありました。このため、「キ52」という陸軍仕様に改良された機体案も存在しましたが、最終的には他の軽爆撃機の改良により急降下爆撃が可能な機体が開発できる見通しが立ったため、この案は1941年秋に廃案になりました。

スペック

• - 全長: 8.80 m
• - 全幅: 14.50 m
• - 全高: 2.80 m
• - 主翼面積: 34.00 m²
• - 重量: 1,800 kg
• - 全備重量: 3,400 kg
• - 発動機: 中島 光1型改 空冷複星型9気筒
• - 出力: 820 hp
• - 最大時速: 352 km/h
• - 航続力: 1,519 km
• - 上昇限度: 7,000 m

武装

• - 機関銃: 7.7mm×2
• - 爆弾: 250kg×1 または 30kg×4
• - 乗員: 2名

このように、十一試艦上爆撃機は日本の航空機の歴史の中で重要な役割を果たした試作機でした。

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