十七試陸上攻撃機

十七試陸上攻撃機（じゅうななしりくじょうこうげきき）の概要

十七試陸上攻撃機は、川西航空機が日本海軍のために開発した陸上攻撃機で、計画番号は「K-100」、社内名称は「KX-1」とされています。この機体の開発は、1942年に始まり、海軍航空技術廠が手掛けた「銀河」爆撃機を凌駕する性能を持つものとして期待されていました。

開発の背景

開発の起源には二つの説があります。一つは、陸上攻撃機「泰山」の開発が進まなかったことを受けて、軍側が川西航空機へ開発を指示したというものです。もう一つは、川西航空機が自発的に新たな機体の開発に着手した結果という考え方です。一般的に、銀河が汎用機として扱われたのに対し、十七試陸攻は主に雷撃を主任務とする設計がされ、急降下爆撃にもある程度対応できる機能を持っていました。

計画の終了

しかし、肝心のエンジンである中島の「護改」（BDエンジン）の完成が難航し、中島側がその開発を取りやめる事態に陥りました。また、海軍が新たに中島に陸上攻撃機「連山」の試作を命じたことも影響しました。このため、基本設計の段階でプランは立ち消えとなり、略符号さえ与えられることはありませんでした。アメリカの資料には、「G9K1」との略称が記されていますが、その根拠は不詳です。

機体の設計

機体は中翼の単葉構造で全金属製、双発エンジンを搭載しています。主翼の設計は銀河に似ていますが、やや大型で川西独自のスロッテッド・フラップが備えられ、外翼に上反角が付けられています。搭載エンジンは「護改」の18気筒バージョンが想定されており、特大のエンジンナセルが装備される予定でした。降着装置は尾輪式の引込脚で、着陸時の安定性を高める工夫がされています。乗員は4名で、座席は串型に配置されています。

主要諸元

以下に、十七試陸上攻撃機の計画値の諸元を示します。これにより、機体の大きさや性能を概観できます。

• - 全長: 15.00 m
• - 全幅: 21.60 m
• - 全高: 6.07 m
• - 主翼面積: 64.0 m²
• - 自重: 8,550 kg
• - 搭載量: 4,950 kg
• - 全備重量: 13,500 kg
• - エンジン: 中島 護改 空冷複列星型18気筒（離昇2,300 hp、または2,350 hp）× 2
• - 最大速度: 605 km/h（高度7,600 m時）、または606 km/h
• - 巡航速度: 370 km/h
• - 実用上昇限度: 11,200 m
• - 航続距離: 5,556 km
• - 武装: 20mm旋回機銃 × 2または3、800kg魚雷 × 1
• - 乗員: 4名

このように、十七試陸上攻撃機は理想的な性能を追求した計画機でしたが、様々な要因により実現を見ることはありませんでした。

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