十三夜 (小説)

十三夜

『十三夜』は、樋口一葉が1895年（明治28年）に『文芸倶楽部』閨秀小説号に発表した短編小説です。

あらすじ

物語の主人公は、貧しい士族の娘であるお関。彼女は官吏の原田勇に望まれ結婚しますが、子供が生まれてから夫の態度は冷たくなります。夫の無情な仕打ちに耐えかねたお関は、ある夜、幼い息子に別れを告げ、実家へと向かいます。

実家では両親が十三夜の月をいそいそと迎えていました。言い出しにくいお関でしたが、父親に促され、夫との経緯を話し、離縁を懇願します。母親は夫の仕打ちに怒りをあらわにしますが、父親はそれをたしなめ、お関を諭します。お関はついに運命を受け入れ、諦めの気持ちで夫の家へ帰ることを決意します。

帰り道、お関が乗った人力車の車夫は、幼なじみの高坂録之助でした。お関はかつて彼に恋心を抱いていましたが、身分の違いから結ばれることはありませんでした。録之助は、お関が原田に嫁いだことを知り自暴自棄になり、妻子を捨てて落ちぶれた生活を送っていました。再会を果たした二人は、万感の思いを胸に、別々の道を歩むことになります。冷たい月が照らす中、お関は深い悲しみを抱えながら、夫の家へと帰っていくのでした。

その他

劇作家の久保田万太郎が昭和22年に劇化脚色し、舞台で上演されました。
同じ樋口一葉作の『大つごもり』『にごりえ』とともに1953年にオムニバス映画『にごりえ』第一話として映像化されました。
2011年1月にNHKラジオ文芸館で阿部陽子による朗読で放送されました。

外部リンク

ウィキソースには、十三夜の原文があります。
『十三夜』：新字旧仮名 - 青空文庫
『十三夜』：旧字旧仮名 - 青空文庫
* 『十三夜』：旧字旧仮名 - 青空文庫

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