十三試小型輸送機

十三試小型輸送機

十三試小型輸送機（じゅうさんしこがたゆそうき）は、日本飛行機が日本海軍の要求に応じて試作した飛行艇で、機体略号は「L7P」である。この機体は昭和17年に完成したが、操縦性に問題があり、不採用となった。日本で作られた唯一の水陸両用機として、その試行錯誤の過程が歴史に残っている。

開発背景

日華事変の発生に伴い、日本海軍は人員輸送など様々な用途を想定した小型飛行艇の必要性を認識した。1938年、海軍は日本飛行機に対して、この水陸両用機の開発を命じた。開発に際して、日本飛行機はすでに研究用として購入していたフェアチャイルド社製の飛行艇を参考に取り入れることになった。

当初は1940年に試作機の完成を目指していたが、途中で機体の構造に変更が加えられるなどの影響で進捗が遅れ、最終的に試作機は1942年2月に完成した。この遅れは、戦局の進展にもある程度影響を与えているかもしれない。

機体の設計

本機は全金属製のモノコック構造を採用した胴体を持ち、主翼は木製の骨組みに合板を用いたパラソル式配置の単葉機である。機体には収納式主脚と固定式尾輪を備えており、機体のデザインには当時の技術が反映されている。エンジンは中島製の寿41型で、双発で710hpの出力を誇り、定速式の2翅プロペラが装備されていた。乗客席は胴体内に8席、さらに操縦員3名を合わせた乗員定員が設けられていた。

審査と不採用理由

海軍による機体の審査は1943年から始まったが、速度がある程度満足できるものであったものの、操縦性に難があり、特に失速しやすい特性が問題となった。加えて、離水が難しいことも飛行艇としては致命的な欠点であり、試験結果を受けて本機の開発を続ける意義が薄れていった。この時期、戦況は悪化しており、新たな小型輸送機の開発は優先事項ではなくなってしまったため、最終的に十三試小型輸送機は不採用とされた。

歴史的意義

この十三試小型輸送機は、太平洋戦争終戦までに日本国内で製造された唯一の水陸両用機であり、その誕生と不採用の経緯は、技術の限界や戦局の変化を反映した重要な一例と言える。今後の航空機開発にあたる日本の技術者たちにとって、貴重な教訓を提供している。

スペック

• - 全長: 14.00 m
• - 全幅: 19.60 m
• - 全高: 4.70 m
• - 主翼面積: 50.1 m²
• - 全装備重量: 5,899 kg
• - 最高速度: 332 km/h
• - 乗員: 3名、乗客: 8名
• - 発動機: 中島 寿41型 空冷9気筒 710 hp × 2
• - 航続距離: 278 km

このように、十三試小型輸送機は日本の航空技術の一端を示す存在であり、航空機の進化に寄与した歴史的な試みであった。

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