十三試高速陸上偵察機

十三試高速陸上偵察機について

十三試高速陸上偵察機（じゅうさんしこうそくりくじょうていさつき）は、大日本帝国海軍によって計画された偵察機で、略称は「C4A」とされます。この機体は、陸軍の九七式司令部偵察機に相当するもので、高速性能が求められていました。

概要

1938年、海軍は偵察用途に特化した新型機の試作を指示し、その結果、愛知時計電機航空機部（後の愛知航空機）がこのプロジェクトを受け持ちました。設計は尾崎紀男技師が主導し、「AM-20」という社内名称で進められました。1939年3月にはモックアップが完成するものの、開発は中止の運命を辿ります。

開発中止の要因は、海軍が九七式司偵を原型とする九八式陸上偵察機を採用したことにありますが、さらに研究の過程で性能が期待に達しないことが判明したという理由もあります。これにより、AM-20は実際の運用に至ることはありませんでした。

設計特性

AM-20は、そのデザインにおいて速力を重視した構造が特徴です。片持式の低翼を持つ単葉機であり、設計においては九九式艦上爆撃機の経験が活かされました。また、当時のドイツから輸入された機体、特にHe 70が設計の参考にされていました。降着装置は固定脚であり、空気抵抗を削減し、最大の速度を追求するための工夫が施されていました。

残念ながら、AM-20の詳細な諸元や図面に関する資料は現存していないとされています。これにより、ビジュアル的な理解や、具体的な性能評価が難しくなってしまっています。

文献

この機体に関する情報は、以下の参考文献に収められています。

• - 野沢正著『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』出版協同社、1959年、30,84,97頁。
• - 秋本実「海軍偵察機「景雲」 その1」『航空ファン』第39巻第4号、文林堂、1990年、133頁。

関連項目

偵察機や哨戒機の一覧については、関連項目を参照してください。このプロジェクトは、大日本帝国海軍における航空機の開発史の一端を担い、当時の技術力や運用思想を反映した重要な試みであったと言えるでしょうが、実現に至らなかったことは歴史の中での思い出として残っています。

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